試乗車は上級グレードの「ポートフォリオ」。「S」もそうだが、ぱっと見てのスタンダード仕様との差異は、18インチタイヤや、ツインエグゾーストパイプ程度。これみよがしではない奥ゆかしさに、まず好感を抱いた。
インテリア色は“ライトオイスター”。設定色のなかでもっとも明るい色調で、X300系のころの『XJ』にあったセージグリーンなどを連想させ、柔らかで上品なジャガーらしい雰囲気に気持ちが包まれる。けれど革シートのメイン部のパーフォレーション(小さな穴)は個性的なパターンだったり…と、若々しいあしらいなのも見逃せない。もちろん居住性は快適なもので、とくに後席は身体の“収まり”がよく、快適な移動が楽しめそうだ。
走りは全体の軽快感が印象的だった。搭載エンジンは2リットルターボのハイチューン版(240ps/340Nm)ということもあり、敏捷に反応してくれるパワー感は1660kgのボディをストレスなく走らせる。
さらに『XE』らしいのがハンドリングだ。ワインディングを走らせてみたが、身のこなしは、しやなかさ・4:軽快感・6といったところ。ステアリングは切り込んで行った先の反応がなかなかシャープで、保舵力を切り替えても無闇な重さにはなっていない。
下ろしたての試乗車だったせいか、タイヤ自体の硬さは少し実感があった。が、スポーティでありながらも“繊細な感触”を味わわせてくれるところが、やはりジャガーらしい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。