【F1 日本GP】浜島裕英の見所チェック…ドライバーアシスト禁止でも、タイヤを上手く使うには?

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8月のF1ベルギーGPから、ドライバーの作業をアシストするような内容の無線が禁止された。タイヤマネージメントはドライバーの経験と判断が重要になる
8月のF1ベルギーGPから、ドライバーの作業をアシストするような内容の無線が禁止された。タイヤマネージメントはドライバーの経験と判断が重要になる 全 6 枚 拡大写真

いよいよ今週末、F1日本GPが鈴鹿サーキットで開催される。F1ファンでなくても注目の一大イベントだが、「レギュレーションがよくわからない」「どんな風に楽しめば良いの?」という人も少なくないだろう。特に、レースで重要な役割を果たす「タイヤ」は見た目の変化が分かりにくく、あまり詳しい説明もされてこなかった。本稿ではこの「タイヤ」に着目、レーシングタイヤのプロフェッショナルである浜島裕英氏に、レースの見所を語ってもらった。

【画像全6枚】

◆タイヤの最適温度は摂氏100度。暖め方にも手順がある

2015年8月23日のベルギーGPから、今後ドライバーの作業をアシストするような内容の無線が禁止されました。この決定は、“タイヤ”を最適な状態にする…という点についても、大きな影響を及ぼすものです。

タイヤは、最適な温度、そして最適な内圧になっていなければ、最高の性能を発揮できません。そのため、スタートシグナルのレッドが消え、レースが開始された時に、この最適な温度、そして最適な内圧にするため、そこに至る過程で様々な準備を行うわけです。

まずマシンに装着するまで、タイヤをタイヤウォーマーに入れ、きちんと管理することが重要です。F1用タイヤの使用最適温度は、だいたい摂氏80~120度なのですが、タイヤウォーマーでは40~50度で初めじっくりと暖めておきます。そして、使用する直前に温度を一気に上げ、マシンに装着するのです。

なぜじっくりと暖めるのかと言えば、ホイールなども含めて、温度を上げておく必要があるからです。ホイールは熱容量が大きく暖まりにくいので、常温のモノを80度に上げるには非常に時間がかかります。しかし、40~50度まで暖めておけば、80度まで温度を上げる時の時間を短縮することができます。一方、常に使用最適温度である80度から120度に上げてしまうと、ゴムの中に含まれる“ポリマー”と“硫黄”などの結合が進んでしまい、コンパウンドが変質してしまいます。しかし40~50度ならば化学反応が生じないのでその変質を防げます。

◆フォーメーションラップでの技術。横滑りの摩擦でタイヤを温める…は誤解。

ここまでの作業は、ドライバーアシストが禁止された今でも可能です。問題はここから。

タイヤウォーマーから出されたタイヤは、放っておけばどんどん温度と内圧が下がっていきます。そのため、ドライバーはフォーメーションラップでタイヤを暖めるため、3つの動作をします。それが“ウィービング”、“バーンアウト”、そして“ブレーキング”です。チームは事前に、「どのコーナーで○回のウィービングをして、次のコーナーで○回バーンアウト、そして○○コーナーでブレーキングをした後にグリッドにつきなさい」ということを、あらかじめシミュレーションを基に決めておきます。そして、これまではマシンから送られてくる様々なデータをピットで見ながら、逐一ドライバーに指示を送っていました。この“ドライバーに指示をするラジオ”が、今回禁止されたわけです。

ちなみに、ウィービングはマシンを左右に振る動作、バーンアウトはアクセルを一気に吹かしてリヤタイヤを若干空転させる動作、ブレーキングはその言葉どおりブレーキングです。いずれも、タイヤの温度と内圧を上げるための動作です。しかし、“摩擦熱”で温度を上げているわけではありません。これらの行為でゴムに“剪断力”(せんだんりょく)を働かせて、温度を上げているわけです。

【浜島裕英氏】
ブリヂストンがF1にタイヤを供給していた1997年から2010年までの14年間にわたってモータースポーツタイヤ開発ディレクターとして現場の指揮を執り、その後12年から14年まではフェラーリに在籍しタイヤに関するアドバイスを行った。現在はフリーとしてF1テレビ解説などを行っている。

《レスポンス編集部》

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