【フォード エクスプローラー 試乗】2.3Lになっても、不満の出ようはずがない…中村孝仁

試乗記 輸入車
フォード エクスプローラー XLT エコブースト
フォード エクスプローラー XLT エコブースト 全 17 枚 拡大写真

個人的な感想で恐縮だが、フォードというメーカーほど多彩で多様なメーカーはないような気がする。とにかく多様な顔が存在する。そのうちの一つがタフさを売り物にする、アメリカンSUV、『エクスプローラー』だ。

多様だの多彩だのというのは、一方でこのタフさを売りにアメリカでは世界最大の販売台数を誇る『F150』トラックや、このエクスプローラーなどを売り、一方で『マスタング』のようなマッスルカーも手掛ける。ここまでならGMだって同じ。ところがフォードにはさらなる顔があって、ヨーロッパに行くと『フィエスタ』や『フォーカス』がヨーロッパの主力コンパクトカーとして君臨する。

これらのクルマ、単に安さや経済性などを売りにするだけではなく、実は潜在的な高い運動性能を持っている。だからフォードが作るツーリングカーは昔からレースに強い。古くは『コルチナ』、その後『シエラ』、さらには『モンデオ』とその系譜は受け継がれている。そしてそのレースは、ルマン24時間で優勝した『フォードGT』のような本格的レーシングカーを作り上げると思えば、世界に冠たる傑作F1エンジンのDFVと呼ばれる3リットルV8レーシングエンジンもフォードブランドで手掛けているのだ。

ここまでくるとGMはもう蚊帳の外。そして世界広しと言えども、これだけのジャンルを世界最高のレベルでものにしているのは恐らくフォードだけだと思うわけである。

話が横道にそれてしまったが、エクスプローラーは誕生からずっと北米で売られる、ミッドサイズSUVとしてはベストセラーの座にあったモデル。現行モデルもデビューした2011年にトラックオブザイヤーのアワードを獲得している。日本でもフォードジャパンが販売するクルマの31%がエクスプローラーという、いわゆるドル箱モデルでもある。

なぜそこまで受けるのか。やはりアメリカンなイメージを残しつつ、快適でスムーズな走りを持つからだと思う。FWDモデルが導入されたのは2012年から。今ではエクスプローラー全体の67%がこのFWDモデルによって占められている。

今回そのFWDモデルのエンジンが従来の2リットルエコブーストから2.3リットルエコブーストに格上げされた。このエンジン、基本的にはマスタングに搭載されているものと同じで異なるのはチューニングだけである。また、トランスミッションも今回からはパドル操作を可能にした6速セレクトシフトが装備され、あまり向いていないかもしれないがそれなりにスポーティーにも走れるようになった。しかしそれ以上に、例えば空力を改善したり、新ドアシールを採用して静粛性を向上したり、LEDヘッドライトを新採用したりと、今回のモデルは細かくリニューアルされているのだ。

2リットル時代でも性能的な不満はなかったのだから、2.3リットルになって不満など出ようはずがない。それどころか燃費は2リットル時代より5%改善されているというからさらに有り難い。エコブーストでもレギュラーガソリンが使えるのはアメリカンならではだろう。

以前はセンターコンソールに二つのタッチ式ディスプレイがあって煩雑だったが、今回はそれを一つに改めた。静粛性は非常に高い。新たにパドルシフトがついて、以前に比べると圧倒的にマニュアル操作がしやすくなった。とはいえこの6速AT、元々それほどマニュアルモードが有効に使えるものとは言い難く、単に位置が変わって使い易くなったというのが改良点で、これによってマニュアルでの走りが愉しくなるというものではない。

来年には最強の3.5リットルエコブーストV6を搭載したタイテニウムというグレードの導入されるそうだから、エクスプローラーの販売比率はさらに増えそうだ。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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