【マツダ ドイツ開発拠点レポート】25年の歴史持つ海外の重要拠点、その役割とは

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ドイツにあるマツダの海外開発拠点、マツダモーターヨーロッパ(MRE)
ドイツにあるマツダの海外開発拠点、マツダモーターヨーロッパ(MRE) 全 12 枚 拡大写真

先月開催されたフランクモーターショー15で、コンセプトカー『越 KOERU』を初公開したマツダ。同車は、SKYACTIV技術とデザインテーマ「魂動(こどう)」を採用しながらも、新たなフェーズを切り開くクロスオーバーであり、今後市場の反響と需要に応じて商品化が検討される。

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そのマツダは、広島の本社以外にもドイツ、アメリカ、中国と3つの開発拠点を有する。このうちの一つ、ドイツ・ヘッセン州オーバーウァゼルにある「マツダR&Dヨーロッパ(MRE)」にて取材する機会を得た。

MREは1990年5月に設立され、今年で25周年と同社海外拠点の中で一番古い歴史を持つ。その主な役割は、現地の道路環境における車両の技術研究や評価、デザイン開発、欧州市場の調査だ。所長(ゼネラルマネージャー)を務めるのは『アクセラ』の元主査である猿渡健一郎氏。約100名のスタッフのうち日本人は18名程度で、ローカルの目線を中心とした本社へのフィードバックを行っているのだという。

猿渡氏は、「やはりヨーロッパにはドイツプレミアムブランドを始め、独自哲学を持ったメーカーが多くある。その中で勉強しながら、我々の考える“お客さまとの絆を持って、人生そのものを楽しくできる商品を提供したい”という価値を本社に伝え反映するということ。また、アウトバーンもあり過酷な道路環境の中で長距離乗ってもリラックスできる車を作る、という観点からも大きな意義を持つ」とし、MREは海外開発拠点の中でも重要な位置づけにあると語る。

◆公道使用したテストが基本、厳しい環境基準にも対応

PEV(Product Evaluation)と呼ばれるチームでは、パワートレイン、ビークルダイナミクス、NVH(騒音・振動・乗り心地)、クラフトマンシップの分野で車両性能の評価を行う。30名ほどのメンバーが在籍し、そのうち3分の1が日本から2~3年のサイクルで赴任するエンジニアだそうだ。

マツダはヨーロッパにテストコースを持っていないため、基本的にデータ収集や性能評価は公道で行うことになる。実験の目的に合わせ、4つほどのテストコースを用意しており、特殊な評価が必要な場合は、テストコースを借りたりニュルブルクリンクへ車両を持ち込む。

PEVチームをまとめる藤原龍吾氏は「ここでの利点は、ドイツメーカーの最新の車が簡単に手に入り試せるということ。我々がここでクイックにテストや調査をし、次の新しい車の開発目標をどうやって決めるのかサポートしている」と話す。コストや時間を考えると欧州から本社に実車を輸送することは現実的ではないため、現地で評価し効率性を上げている。

施設内にある排ガスやNOxを計測するエリアでは、ガソリン用とディーゼル用の2つのシャシーローラーが設置されていた。ここでは欧州で定められたサイクルで車輪回しながら出てきた排ガスを集め機械で分析を行う。データはシェアホルダーで本社と共有。新車だけでなく、一般のユーザーから18万kmほど走った車を借りてきてテストすることもあり、年数が経っている車両でも同じ評価をし、規制をクリアするかどうかを重要視しているという。

また、2017年からは実車走行に基づき数値をクリアするという条件が欧州の排ガス規制で導入される。その対策として、PEMS(Portable emissions measurement system)という機械でのテストも実施。吸気口から出たガスをホースで収集し計測を行う機械で、車両の後部に設置して一般ユーザーに走ってもらうのだという。

◆海外拠点ならではのメリット、現地の“声”も日本へ

その隣には、アライメントテスターを6基有するエリアがあった。ここでは、ビークルダイナミクスの担当者がダンパーやタイヤを組み替えたりして車の調整を行う。エンジニアは5名おり、エンジンの載せ替えもできるとのこと。欧米メーカーや他社の日本車を含め10台ほどが置かれており、各メーカーの車をテストしながら「今あるモデルの長所をどう伸ばすか、今後自分たちの立ち位置をどうするか決めている」(藤原氏)という。

また、同エリアには『RX-8』もあったが、これはドライビングトレーニングに用いるもの。日本から年2回ほどドライビングのエキスパートが訪れ、ニュルブルクリンクで訓練を行っているのだそうだ。

そして、昨年春に新しく出来たのが「クラフトマンシップ評価ルーム」と呼ばれる部屋だ。内外装のビジュアルや質感、室内照明、暗い状況での操作性、イルミネーションなどを評価でき、天井には蛍光灯の照り返しがないように布が貼ってある。従来本社にある施設と同じ環境に整えられているが、材料は全て現地で調達した。

藤原氏は「日本と同じものを用意するのは、照明一つ選ぶにも苦労した。布もサプライヤーから多くのサンプル取り寄せて吟味している。欧州ではこういった部屋を持っているメーカーは少ないのではないか」と語る。本社と同等の設備を用意し、現地スタッフと意見を交わしながら評価するというマツダならではのこだわりが感じられる空間だ。

その他、カスタマーフィードバックや現地メディアで比較評価されたものを収集し、本社に伝えるという業務も行っている。新型車のローンチ前には約50名の一般ドライバーを集め、定められたコースを2時間ほど走行。同乗したローカルのエンジニアが実際に運転した人が感じた点を、良いも悪いも聞き取るのだそうだ。正に“欧州の声”を日本へ届けているのである。

《吉田 瑶子》

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