世にも珍しい左側航行は日本でここだけ…航路が変わる来島海峡[フォトレポート]

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糸山公園から来島海峡を眺める。このとき潮流は南流で、左側航行をとる自動車運搬船が潮の流れに逆らって西へと向かう。東へ行く船は写真中央の馬島の向こうを通る
糸山公園から来島海峡を眺める。このとき潮流は南流で、左側航行をとる自動車運搬船が潮の流れに逆らって西へと向かう。東へ行く船は写真中央の馬島の向こうを通る 全 32 枚 拡大写真

「右側航行」が原則の海上交通の世界で、このルールとは異なり、右側・左側航行を適宜切り替える区間がある。世界的にも珍しい「順中逆西」という航法をとる来島海峡航路だ。この「日本で唯一」といわれる航路とこの海域を行く船などを32枚の写真とともに見ていこう。

鳴門海峡・関門海峡と並び、日本三大急潮流のひとつで愛媛県今治市付近を流れる来島海峡は、九州方と関西方を結ぶ瀬戸内海航路の要衝で、大型客船や自動車運搬船、自衛艦、潜水艦などさまざまな船が行き来する国際航路。1日700隻もの船が往来している。

ここを通る船は、四国本土と馬島にはさまれた西水道か、馬島と中渡島の間の中水道を行くが、ここでは、右側航行という原則ではなく、潮流の向きによって右側航行と左側航行に切り替える、世界的にも珍しい航法「順中逆西」がとられている。

来島海峡では、広島・呉方から愛媛・西条側へと流れる「南流」のとき、船が潮流に乗って航行(順潮)する場合、強い潮流によって舵取りが難しくなるため、カーブが比較的小さく、距離が短い中水道を通るように定められている。

この場合、潮の流れに逆らい(逆潮)、西水道を通って西へと向かう船とともに左側航行となり、その頭の文字をとって「順中逆西」と名づけられた。こうした世界的にも珍しい航法で行き来する船を、糸山公園(愛媛県今治市小浦町)から眺めることができる。

9月下旬の朝、左側航行に従い、自動車運搬船が強い潮流に逆らうように力強くすすむ姿が見られた。海上保安庁第六管区では「大型船入航予定情報を毎日更新している。大型船の通過時間はその表でたいだいわかるので、糸山公園で船を眺めるときは活用してほしい」と話していた。

10月19日時点で、長さ160m以上の客船やばら積み船などは、西航路で47隻、東航路で44隻が表示され、そのなかには木材運搬船(4万9000トン)やばら積み船(9万2000トン)などの巨大船の通過時間も記されていた。また、潮流情報のページには、次回転流時刻なども記されているので、南流と北流の“変わり目”のタイミングも事前にチェックすることができる。

また、順中逆西を隔てる馬島から、来島海峡に架かる「しまなみ海道」(西瀬戸自動車道)を伝って北へ20kmほど行くと、室町時代から瀬戸内航路を支配した村上水軍の時代にタイムスリップできる能島がある。「天然の城塞」といわれるこの能島城跡には、1400年代に築かれた海城としての名残が点在。本丸や二の丸の跡、行き来する船を繋留させたとみられる「船だまり」や、その当時に埋め立てられてできたヤードなどが残っている。「中世の海賊衆がいた時代を感じて」と今治市関係者。

愛媛県の担当者は「造船の街としてもにぎわう今治。船舶ファンの姿もよく見かける。本州からはクルマや自転車で、東京方面からはLCCでおとずれる人が多くなった」とも話していた。

《レスポンス編集部》

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