【山崎元裕の “B”の哲学】ラグジュアリーの定義を一瞬で過去のものにした…ベントレー ベンテイガ

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ベントレー ベンテイガ(フランクフルトモーターショー15)
ベントレー ベンテイガ(フランクフルトモーターショー15) 全 11 枚 拡大写真

ラグジュアリーを再定義する

2012年のジュネーブ・ショーで発表された、コンセプトカーの『EXP9 F』から3年。ついにベントレーのSUVが世界中の市場へと投じられる日が訪れた。

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ワールドプレミアの舞台として選ばれたのは、先日開催されたIAA=フランクフルト・ショー。プレス・コンファレンスの檀上に立った同社のチェアマンであり、チーフエグゼクティブであるヴォルフガング・デュールハイマー氏は、『ベンテイガ(BENTAYGA)』とネーミングされたこの新型SUVを、「紛れもなくベントレーが生み出したSUVであり、同時にそれはSUVというセクターにおけるラグジュアリーというものを、再定義するものになる」と紹介した。

「再定義=Redefine」という言葉から、この歴史的な場面に立ち会った者は、直接のライバルと考えられるさまざまなブランドをイメージしたことだろう。彼らには最高級のSUV(それを各々がSUVと表現するのかどうかは別として)を生み出すことに、長い歴史と経験を有し、そしてまた熱狂的な信者にも例えられるカスタマーが世界中に数多く存在する。だがベントレーは彼らの定義したラグジュアリーを、ベンテイガによって一瞬で過去のものとしてしまった。

それはSUVの世界に、新たなるハイエンドを定義したと表現することもできるだろう。ラグジュアリーなだけではなく、パフォーマンス、クオリティ、そしてクラフトマンシップ、あらゆるもののハイエンドを、ベンテイガは定義してみせたのだ。

◆最新プラットフォーム「MLB EVO」

実際にこのベンテイガを、オフロードへと導くカスタマーは少数派なのだろうが、あたかもその優れた走破性を象徴するかのように、急傾斜のスロープを駆け下りて、ベントレー・ブースのセンターへと導かれたベンテイガは、コンセプトカーのEXP9 Fとはまったく異なるアピアランスを持つSUVだった。

車高はEXP9 Fより60mmも低く、それによってエクステリアデザインは、よりスタイリッシュでスポーティーな感覚を得ることになった。フロントマスクは、ほかのベントレー各車とも共通する、ベントレーの伝統的なアイコンを継承したもの。リアフェンダーのシャープなプレスラインには、フットワークの力強さが見事に表現されている。

ちなみにベンテイガのプラットフォームは、新型アウディ『Q7』や、次世代のポルシェ『カイエン』、あるいはランボルギーニの新型SUVにも使用される可能性が高いVWのモジュラー型プラットフォーム「MLB EVO」。これは軽量なアルミニウム製で、さらにボディーパネルでもスチール、アルミニウム、コンポジッドといった素材を効果的に使い分けることで、軽量性とともに高い剛性を確保することに成功している。

参考までにベンテイガの車重は2422kg。ボディーサイズが5141×1998×1742mm、さらに豪華な内装や装備を満載していることを考えると、これは十分に評価できる数字といえるだろう。

そのインテリアは、ラグジュアリーを再定義するというデュールハイマー氏の言葉どおり、圧巻の仕上がりだった。伝統的なベントレーウイングのデザインを継承しつつ、それをより現代的に、そしてスタイリッシュに解釈。シートはカスタマーの好みによって、5シーターと4シーターの選択が可能。フロントシートは16、もしくは22ウエイの調節が可能。リアシートが左右に完全に分割される4シーター仕様を選べば、リアも18ウエイの調節ができる。ちなみにリアシートのアジャストやクライメートコントロールは、3.5インチのタッチスクリーンで操作する仕組みだ。

◆圧倒的なパワーを受け止めるシャシーも斬新

搭載されるエンジンは、W型12気筒であることを除けば、すべてがこれまでのものとは別物だとベントレーがアピールする、新開発の6リットル版W型12気筒ツインターボ。直噴とポート噴射の両システムを併用し、気筒休止やスタート&ストップなど、環境性能の向上に大きく貢献する新機構も採用された。最高出力&最大トルクは608ps&900Nm。これに8速ATを組み合わせ、さらにトルセンデフ方式のセンターデフが、駆動力を常時最適な配分値(通常時には前後で40:60に配分)で4輪に伝達する。このパワーユニットによって、ベンテイガは0-100km/hで4.1秒、最高速では301km/hを実現するのだ。

この圧倒的なパワーを受け止めるシャシーも斬新だ。最新世代のエアスプリングが使用されるほか、センターコンソール上のロータリースイッチを操作すると、車高や減衰力、ロール制御、スタビリティ&トラクションコントロール、エンジン、トランスミッション等々の設定を、オンロード用で4段階、オフロード用でも同じく4段階に変化させることができる「ベントレー・ダイナミック・ライド」をオプションで搭載する。

ベントレーのエンジニアリングチームが、このシステムの中で特に強調するのは、電動式のアクティブロールコントロール。ロールバーの中央部分にモーターを組み合わせ、その作動によってロール剛性を変化させる。電動式を採用した理由は、もちろん油圧式に対して優れたレスポンスが得られるためで、さらに48V電圧の採用でモーターの出力パワーを増大させる策を講じている。

2016年後半に日本のカスタマーへのデリバリーが開始されるというベンテイガ。さまざまなオプションや、ビスポーク部門のマリナーによって、カスタマーの趣味を完全に反映させたモデルを手に入れることができることも、もちろん変わらない。。

ベントレーは今、ベンテイガの誕生によって、歴史的な成長を遂げようとしている。

《山崎 元裕》

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