減らない航空機へのレーザー光照射

航空 行政
成田空港を離陸するJAL機(ボーイング777)
成田空港を離陸するJAL機(ボーイング777) 全 1 枚 拡大写真

着陸間際の航空機にレーザー光などを照射されたという報告が減らない。11月20日時点で今年は36件。2012年の年間件数と並んでいる。

国土交通省安全企画課は10年7月から航空各社の協力を得て、統計を取り始め、年間37件(13年)が最多だった。今年は12月を残してあと1件に迫っている。

今年は複数の航空会社が、着陸直前の操縦室に向けたレーザー光のような照射を国土交通省に報告した。10月、大阪(伊丹空港)で5件と集中している。度重なる行為に大阪府警も威力業務妨害事件の容疑で捜査に乗り出した。

レーザーポインターなどの携帯用レーザー応用装置の規制は、消費生活用品安全法で定められている。検査に合格し、国内販売できる製品にはPSCマークが表示され、国内販売するにはこのマークがついた適合製品でなければならない。

安全法では最大出力1mW以下に抑えられているため、遠くの航空機に照射できるほどの能力がない。問題はインターネット上で販売される外国製品には必要以上に出力が大きく、各種の安全装置がついていない製品があることだ。

これまでの航空機への照射では、航空の安全性を脅かすまでには至っていないため「航空法の報告義務に当たる重大な事案はない」(前出・安全企画課)が、操縦士の目に照射された場合の視力への影響は深刻だ。

昨年5月には、神奈川県警のヘリコプターにサーチライトを照射した川崎市在住の41歳の男が、威力業務妨害容疑で逮捕されている。

照射は空港施設内で行われているとは限らず、犯人の特定は容易ではない。先の神奈川県警のヘリコプターへの照射は、容疑者の自宅マンションからだった。各空港管理者は警察などと連携して警戒にあたっている。一方で、規制をはずれた高出力を特徴にしたレーザーポインターが販売されている現実がある。

レーザー光などの照射に関する年間報告件数は以下のとおり。

2件(10年7月~)
11件(11年)
36件(12年)
37件(13年)
28件(14年)
39件(~15年11月20日)

《中島みなみ》

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