冬本番、スタッドレスタイヤの替え時っていつ?…販売現場に聞いた

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タイヤセレクト東大宮店の長川正樹氏(左)と今井優杏氏(右)
タイヤセレクト東大宮店の長川正樹氏(左)と今井優杏氏(右) 全 16 枚 拡大写真

今年は暖冬だといわれているけど、日本は世界でも有数の豪雪国。おかげでふわっふわのパウダースノーが敷き詰められた、世界トップクラスのスキー場が日本にはあまたあり、その雪を求めて世界中のスキーヤー・スノーボーダーがこぞって来日している。太平洋側の都市部ではそんなイメージも少ないかもしれないけど、一昨年の大雪は記憶に新しい。

それほどの豪雪国家にあって今やスタッドレスタイヤの需要はかなりのもの。奈良県出身・東京都在住である筆者もその両方の生活圏内でスタッドレスタイヤを必要としているから、正しい知識はぜひとも身につけておきたかったのだ。

そんななか、ある日、研究と予習/復習を兼ねてタイヤメーカーのサイトを熟読していたときに私の目に飛び込んできたのが「スタッドレスタイヤの履き替えは一ヶ月前に行ないましょう!」という文字。思わず2度見してしまったこのコトバは、タイヤメーカー「ダンロップ」が推奨しているものだった。ちょっと待って、それはなんぼなんでも早すぎませんか? と思わずひとりツッコミ。

しかし、ダンロップのスタッドレスタイヤのウェブページにある冬支度スケジュール表「タイヤの衣替えカレンダー」には、確かに一ヶ月前の装着スケジュールが掲載されている。え、なんでよ、早く付けたら減っちゃうでしょ! と思ったのは、なにも常識的倹約家を自負する私だけではあるまい。以来、コトの真意をどうしても確かめたくなって、埼玉県にあるタイヤ販売店「タイヤセレクト東大宮店に」突撃取材を行なってきたのでレポートしたい。

まだ雪の「ゆ」の予感も感じないのに、お店はスタッドレスタイヤ一色! 本当に今から準備が必要なんですか? と同店の長川正樹氏に聞いてみたところ、すでに問い合わせが始まっているのだとか。

◆早めの装着でも、耐久性は問題なし

----:どうして皆さん、そんなにはやく準備をされるんでしょうか。

長川正樹氏(以下敬称略):今年はとくに例年よりもお問い合わせが早く始まりました。やはり一昨年の大雪を経験された方は早めの装着を準備されますね。お客様の危機管理意識の高まりもあると感じています。あのときはこのお店の周囲でもかなりの降雪量で、ちょっと先の坂道ではブレーキが利かずに滑り落ちてしまったクルマもありましたから。

----:しかし、早めの装着は摩耗が心配。いざ使う時にタイヤが減ってしまっていたり、タイヤが長持ちしないのは困ってしまいます。

長川:最近はタイヤの素材の研究が進んでいて、通常の路面を走っても摩耗しにくいような材料のゴムの合成が出来るようになってきているんです。特に当店で扱っているダンロップのスタッドレスタイヤ『ウインターマックス』は、私自身が色々とテストしてきた中でも、信頼できる耐久性を持っています。雪が降らない時期や路面を長く走っても摩耗しにくい、従来品と比べて1.5倍の耐摩耗性を誇っています。

----:でも、耐摩耗性と氷上性能は相反するものでしょう? いざというときに凍結路面で止まらないのは危険ですし、摩耗するよりももっと嫌なんです。

長川:もちろん大丈夫です。こちらも僕自身がスケートリンクなどツルツルの路面で試乗を重ねてきましたから、氷上ブレーキ性能には自信があります。僕が特別運転が上手だというわけではなく、タイヤがしっかりと氷を掴んで止まってくれるんです。

----:普通の路面でも、凍結路面でも性能が良いなら、一年中スタッドレスタイヤで過ごせばいいと考える人もいると思うのですが…。いちいちタイヤ交換するのは面倒ですし、お金もかかります。

長川:とんでもない、タイヤは靴下と同じです。冬は厚手の靴下、夏は薄手の靴下というように、それぞれ得意分野が違いますから、適正に履き替えるのがいいんです。交互に履いた方が、それぞれのライフも伸ばせますしね!

◆タイヤの性能を発揮するための“慣らし運転”

----:それにしても、一ヶ月前から履き替えた方がいいというのは、ホントなんでしょうか?

長川:ええ、本当です。実はスタッドレスタイヤというのは、“慣らし運転”をしておいた方が本来の性能を発揮できるんです。慣らし運転は、乗用車や軽トラックなら60km/h以下で100km、小型トラックなら60km/h以下で200kmが必要だと言われています。

----:乗用車で100km! けっこうな距離ですね。

長川:でも主婦の方がお買い物で使う走行距離が一日5kmだとしたら、1ヶ月で100kmくらいになります。早めにスタッドレスに変えておけば、日常生活を普通に送っているだけで、初降雪のときにも慌てない完璧なタイヤが完成しているというわけなんです。

―いっぺんに100km走らなくてもいいんですね!

長川:はい。それに、早めに来て下されば、お待ち時間を無駄にしていただくこともありません。昨年の混雑時は、最長5時間という待ち時間が発生してしまいました。今ならだいたい30分程度で装着させていただいています。

さて、ここで改めて「タイヤの衣替えカレンダー」を見直して欲しい。え~と、東京で1月3日初降雪予報?! いけない、急がなきゃ! 備えあれば憂い無し、どうせ付けるなら早めの装着で、ゆとりあるウィンターライフを楽しみましょう!

《今井 優杏》

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