温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」、人為起源メタンの排出量を監視・検証できる可能性

宇宙 テクノロジー
温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(参考画像)
温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(参考画像) 全 1 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)が、人為起源メタン排出量(インベントリ)の監視・検証ツールとして有効利用できる可能性があると発表した。

「いぶき」は、環境省、国立環境研究所(NIES)とJAXAが共同開発した、世界初の温室効果ガス観測専用の衛星で、2009年1月23日に打ち上げて以降、現在も観測を続けている。

今回、2009年6月から2012年12月までの3年半に取得された「いぶき」による観測データを解析した結果、人口密集地域、大規模な農業地域、天然ガス・石油の生産・精製地域などの人為起源メタン排出地域で、周辺よりもメタン濃度が高いことが明らかになった。

また、「いぶき」で観測された人為起源メタン濃度と排出量データ(インベントリ)から推定された、人為起源メタン濃度との間に強い正の相関関係があり、「いぶき」は人間活動によるメタン排出に伴う濃度上昇を検出できる可能性が高いことが分かった。

「いぶき」は地球の全大気のメタン観測を行っている世界で唯一の現行衛星で、高い精度を持つことが既に示されている。さらに今回の結果は、「いぶき」や将来の衛星によるメタン濃度観測値が、人為起源メタン排出量を監視・検証として有効利用できる可能性があることを示している。

今後、人為起源メタン濃度の推定精度を高めるため、より高頻度で多数の衛星データを利用して調査・研究・解析を進める予定。加えて、衛星によるメタン濃度観測値から人為起源のメタン排出量をより正確に推定するため、より高精度なモデル数値実験や、排出量インベントリの改良研究や、その評価に取り組む予定。

これらの成果は、2017年度をめどに打ち上げ予定の「いぶき後継機」(GOSAT-2)に応用し、地球温暖化対策の促進に貢献していく。

《レスポンス編集部》

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