先読み技術の高度化に自信あり…日立オートモティブの自動運転システム

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【自動駐車システム】縦列駐車がしやすい確度で停止したあと、バックに入れると自動的にスペース内に入っていく
【自動駐車システム】縦列駐車がしやすい確度で停止したあと、バックに入れると自動的にスペース内に入っていく 全 15 枚 拡大写真

日立オートモティブがこの秋公開した『Smarrt ADAS』の中には、実現間近な技術も用意されていた。特に圧巻だったのが「自動駐車システム」で、自動運転へ向けたその第一歩とも言える最新技術を体験した。

◆自動駐車システム

これは全方位カメラであるアラウンドビューの技術をベースにしたもので、基本システムは既に昨年の段階で公開はされていたものと同じ。今回は日立オートモティブの車両制御技術とクラリオンのセンシング、HMI技術を連携させて完成度を高めているという。駐車枠の白線の有無は一切関係なくなり、並列駐車時は左右のスペースも自動的に探せるようになるなど、実用性向上が今回のポイントになる。

搭載したカメラは前後左右に4つ。すべてがメガピクセル級の画素数を備え、この画像を非圧縮のまま処理する。これによって処理に伴うラグを最小限に抑え、スムーズな車両動作と挙動を実現しているのだ。残念ながら車内での撮影は叶わなかったが、車内では従来使われてきた30万画素級のカメラと、メガピクセル級のカメラの比較が行われ、情報量の違いを確認できるようになっていた。また、システムが動作中は音声でのガイドも行われた。

まずデモは縦列駐車から行った。システムは前部のカメラを使って駐車可能な空間を自動的に探索し始め、空間を見つけると車を一旦停止。次にブレーキを解除して駐車システムをスタートさせると車両は自動的に縦列駐車に適切な位置まで移動する。ここから手動でバックに入れると切り返しを行いながら縦列駐車を行っていくのだ。手動式であるのは「電気自動車でなくてもこのシステムが有効になることを前提としたから(担当者)」なのだという。

驚いたのはその動きにまったくといっていいほど迷いがなかったことだ。鮮やかなハンドルさばきを見せながら駐車空間に入っていき、それに要する時間はベテランドライバー並み。今までの駐車アシストにあった駐車枠の指定もなく、スピーディに駐車空間にクルマを収めたのだ。しかも、最後は少しだけ前へ詰めて脱出しやすくする制御もアシストして見せた。並列駐車に比べて縦列駐車を苦手とするドライバーは多い中で、この動きは見事としか言いようがない。

続いて並列駐車のデモ。左右のスペースが同時に探せるようになり、モニター上には駐車可能なスペースが表示されている。その中から駐めたい枠を選ぶと、駐車可能な位置に近づいて一旦停止。ギアをバックに入れると車両はハンドルを切り返しながらそのスペースへと入っていく。ここでも操作は鮮やか!担当者によれば夜間時の制御も大幅に向上しており、買い物用カートなども障害物として認識して駐車空間を探し出すという。

また、このシステムは、自宅の車庫などへリモコンで出し入れするものとは違い、動作中はドライバーが乗車していることが前提となる。このシステムは数年後に登場する新型車に採用が決まっているとのこと。車庫入れに対して苦手意識を持つ人は数多く、価格次第では急速に普及するのは間違いないと思われる。とくに縦列駐車では白線がない場合も多く、そんな時でも車両が入るだけのスペースを自動的に検出できるのは大きなメリットとなるだろう。

◆プレビュー セーリングストップ

ACC(Adaptive Cruise Control)動作中に無駄な燃料消費を抑制する技術が「プレビュー セーリングストップ」。これは、自動運転などのACC動作中に地図情報やステレオカメラ等を活用して道路の状況を先読みして制動/駆動を予測。走行中に最適な場面でエンジンを自動的にストップさせ、必要に応じてエンジンを停止させて燃費改善につなげるものだ。

ACCは自動運転の実現に欠かせない核となる技術。エンジンを停止させて違和感がないかどうかが注目点だ。が、その心配は希有に終わった。デモ中はエンジンがストップする様子がモニタリングできたが、エンジンが停止してもほとんど気付かない。加速が必要な状況でもスムーズにエンジンが動作し、この時に初めて停止がわかったほどだ。

ただ、エンジンが停止していれば制動時に必要な負圧も得られないわけだが、これに対して「現段階ではそれをどう扱うか考慮中だが、EVのように負圧なしでもブレーキが動作できる時代になり、エンジンのON/OFFは関係なく制御できるようになる(担当者)」との回答だった。

《会田肇》

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