【フォード エクスプローラー 試乗】走りも乗り味も骨太、頼りがいある兄貴分...会田肇

試乗記 輸入車
フォード エクスプローラー
フォード エクスプローラー 全 8 枚 拡大写真

SUVのユーティリティが欲しいけど4WDまでは要らない。そんなユーザーの声に応えてエクスプローラーには前輪駆動の2WDをラインナップする。今回のマイナーチェンジではその2WDモデルによりパワフルな走りが楽しめる2.3リットルエコブーストモデルが登場した。

世の流れは排気量のダウンサイジングが進むが、エクスプローラーは従来の2.0リットルから2.3リットルエコブーストへ排気量をアップ。時代に逆行するような動きではあるが、乗ってみれば太いトルクで2トンを超える“巨体”を力強く前へと進ませるのはちょっと感動。とくに嬉しいのは中低速のトルク感がこれまで以上に高まっていたことだ。

ターボラグもほとんど感じさせず、踏み込めば即座に加速してくれる。6速ATとのマッチングも良好で上り坂でも軽やかな動きをみせた。その快適さはまさにオンロードを中心としたユーザーが常用するのに最適な特性を発揮してくれると言っていいだろう。

一方で、走って感じたのは良くも悪くも4気筒エンジンであるということだ。4気筒らしい機敏さと排気量アップしたターボエンジンはパワフルさでは満足させてくれるが、エンジン音はやや乾いた音でアメ車っぽさはあまり伝わって来ない。しかし、4気筒だけに燃費特性では有利。パワーとトルクを与えながらも燃費を向上させる、この相反することをやり遂げるためにアメ車っぽさがなくなったのは、これこそ時代の流れなのかもしれない。

ハンドリングは想像以上に良かった。背が高い割には安定していて、大柄なボディにも関わらず箱根のワインディングを安心して走り切ることができたのだ。乗り心地では低速時でこそやや突き上げを感じるが、速度が上がってからの快適さを増す。静粛性も高く、これなら遠乗りに出掛けても不足は感じないはずだ。

車室内はアメ車そのもの雰囲気が漂う。シートサイズもたっぷりとしていて、ホールド感を抑えた座り心地もアメ車そのものだ。ただ、着座位置も高めであるため、高齢者にとって乗降性でつらさを感じるのはやむを得ないだろう。

SYNCには「My Ford Touch」が組み合わされ、音声入力は英語でしか対応できないため日本人には不向きだ。しかし、タッチ操作による快適な使い勝手は実現しており、パナソニック製ナビもオプションで装着できるのも嬉しいポイント。また、車線変更時に死角となりやすい斜め後方の車両を検知するBLISや、駐車場からの後退出庫時に役立つCTAも搭載。この先進性も見逃せないポイントだ。

左ハンドルしか選べないなど、誰からも気に入られるクルマとは思えないが、それがかえってエクスプローラーを購入するユーザーにとっては魅力となる。骨太の頼りがいのあるクルマを求めるなら一考する価値があると言えるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

会田肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴い新型車の試乗もこなす。 

《会田肇》

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