スズキの新型ネオレトロバイクは“おしゃれ”だけじゃない!「理想のシート」に新ミラー、バイク乗りには嬉しすぎる「リチウムイオンバッテリー」の恩恵も

スズキ GSX-8T/8TTのトピックであるバーエンドミラーやシート、リチウムイオン電池
スズキ GSX-8T/8TTのトピックであるバーエンドミラーやシート、リチウムイオン電池全 56 枚

スズキは1月30日、待望の新型ネオレトロバイク『GSX-8T』と『GSX-8TT』の販売を開始した。これまでのスズキ車にはないデザインが話題となり、年間販売計画を上回る1000台超の受注を獲得しているという。だが見どころはその“見た目”だけではない。

【画像】スズキ『GSX-8T』と『GSX-8TT』の新機能や装備

この日メディア向けに開催された発表説明会では、開発陣が新型「GSX-8T」と「GSX-8TT」の開発やデザインに込めた思いを語った。

スズキが8T、8TTの開発時に掲げたプロダクトコンセプトは「Retro Spirit, Next Generation Performance.」(懐かしさをまとい、明日へ駆ける)。過去の名車にインスピレーションを受けてネオレトロなデザインを採用するというだけでなく、走行性能や電子制御には最新技術を盛り込むことで、新たな価値観を生み出そうという挑戦の賜物だった。

スズキ GSX-8T(左)とGSX-8TT(右)スズキ GSX-8T(左)とGSX-8TT(右)

チーフエンジニアの加藤幸生さんは8T、8TTの特徴について、第一に「基本性能の追求と最新の電子制御システム」を挙げた。スズキは基本性能=走る、曲がる、止まるを高レベルにバランスさせるバイク作りを大切にするブランドだ。その基本性能にさらに磨きをかけるべく開発されたのが2023年に登場した新世代ネイキッドスポーツの『GSX-8S』で、8T、8TTはこの8Sが持つ775ccエンジン、高剛性なスチールフレーム、軽量なアルミスイングアームや最新の電子制御を受け継いだ。

「GSX-8Sは十分なパワーとパンチの効いたトルクを持ちつつ、スムーズなスロットルレスポンスで誰にでもコントロールしやすく、そこが8Tに求められる、このベクトルに合うのではないかということでベースにした。ただ、8Tに実際に乗ってみると、新たに作り込んだ部品、これが寄与して、“派生モデル感”は全くなくて、このエンジンとプラットフォームは8Tのために生まれてきたんじゃないかと思うぐらい、キャラクターにマッチしている」と加藤さんは太鼓判を押す。

◆ライディングポジションの自由度と「理想のシート」

スズキ GSX-8T/8TTのポジションそのものは、 GSX-8Sと変わらないスズキ GSX-8T/8TTのポジションそのものは、 GSX-8Sと変わらない
            スズキ GSX-8TT          スズキ GSX-8TT

走行面では「ライディングポジションの自由度」にこだわったという。デザイン上は8Sから大きく変わった8T/8TTだが、実はハンドル、ステップ、シートが描く3角形そのものは全く同じ。ではライディングポジションも同じかというと、そうではない。

テストライダーをつとめた佐藤洋輔さんは、「前後どこに着座しても、すっと自然なニーグリップが意識しなくても自然にできるような、ライディングポジションを目指して作り込んだ」という。ワイドになったタンク、そこに連なるようにデザインされ、クッション性をより高めたシートがライディングポジションの変化を生み出した。

「シートとタンク、その下にあるフレームカバー。この3点がフィット感のいい繋がりになっている」と佐藤さんは説明する。

スズキ GSX-8Tのシートスズキ GSX-8Tのシートスズキ GSX-8TTのシートスズキ GSX-8TTのシート

シートは形状そのものは8Tと8TTで共通ながら、8Tがタックロールシート、8TTにはつるっとしたスポーティなシートが採用された。8Sと比べると見るからに厚みがあるシートだが、これが乗り心地の向上に寄与。座面が拡大したことでタンデム走行時の快適性も向上した。

クッション素材には高密度ウレタンを採用。柔らかいのに底付き感が少なく、しかもヘタりにくいという特徴があるそうだ。また8Tのタックロールシートは、クラシカルな見た目上の演出というだけでなく、クッション性の向上にも寄与。また8TTのシートはスポーツライディング時などでより自由な姿勢が取れるような表皮とした。

佐藤さんは、「シートの理想に近いような乗り心地に仕上がっている。8Sとサスペンションのセッティングは全く共通だが、まるでワングレードアップしたような乗り心地が体感いただける」と自信を見せた。

◆バーエンドミラーの「たなぼた効果」とカウルのウラ話

スズキ GSX-8TとGSX-8TTに採用されたハンドルエンドミラー(バーエンドミラー)スズキ GSX-8TとGSX-8TTに採用されたハンドルエンドミラー(バーエンドミラー)

外観上の特徴のひとつにもなっているのが「ハンドルエンドミラー(いわゆるバーエンドミラー)」の採用だ。スズキが国内で展開する車種として採用するのは初めてで、純正採用ならではの耐久性、安全性、視認性を確保するため、そして8T/8TTならではのデザイン性を実現するため素材や形状にこだわった。

バーエンドミラーは通常のミラーとは位置が大きく異なり、ハンドルよりも外側にミラーがあるため、ライダー自身の写り込みや後方視認性が気になる人も多い。だがそこはスズキ謹製、ミラーの面積そのものは小さくなっているにも関わらず、8S並みの視認性を確保しているという。

また、ハンドルの重心が変わるため走行時のハンドリングにも影響がでるのでは、と思いきや、重量そのものは8Sのミラー&バランサーよりも軽くなっており、車両全体でバランスをとることで軽快なハンドリングを実現したそうだ。

ハンドルエンドミラー(バーエンドミラー)の効果で、前方視界が広がったハンドルエンドミラー(バーエンドミラー)の効果で、前方視界が広がったスズキ GSX-8TとGSX-8TTに採用されたハンドルエンドミラー(バーエンドミラー)スズキ GSX-8TとGSX-8TTに採用されたハンドルエンドミラー(バーエンドミラー)

佐藤さんはバーエンドミラーの「たなぼた的な効果」として、「ミラーのステー(支柱)が視界から消えたことで、前方の見晴らしがよくなった」と説明し、「景色を楽しみながらゆったりツーリングするのにすごくオススメできるので、ぜひバーエンドミラーを食わず嫌いせずに乗っていただけたら」とそのメリットをアピールした。

外観でいうと、レトロ感を醸し出す8TTのカウルにも機能面のこだわりがある。特徴的なヘッドライトカウルの形状はデザインチームからの強い要望で、これをスズキの製品として落とし込むのに設計者やテストライダーは苦労したそうだ。

スズキ GSX-8TTのヘッドライトカウルスズキ GSX-8TTのヘッドライトカウル

ヘッドライト上部を見上げてみると、格子状のエアインテークがあることに気づく。これは風圧軽減を目的としたもので、デザインを犠牲にすることなく開口部を設置することに成功している。またスクリーンの外側がわずかに盛り上がった“玉縁(たまぶち)”となっており、これが高速走行時の防風性に貢献するという。これらの組み合わせにより、風が当たる場所と当たらない場所の境界を“ぼかす”ことでヘルメットに当たる風をコントロールし、頭部の揺れを軽減する効果があるとのこと。

ちなみに8TTは当初、個別のモデルではなく8Tのオプションのひとつとして開発されていた。だが、カウルを装着したところ想像以上にかっこよかったため商品化に漕ぎつけたとのこと。8TTのスタイリングには、スズキの鈴木俊宏社長も太鼓判を押したそうだ。

◆バイク乗りには嬉しすぎる「リチウムイオンバッテリー」の恩恵

スズキ GSX-8T/8TTに採用されたリチウムイオンバッテリー(右)。そのメリットは軽量なだけではない。スズキ GSX-8T/8TTに採用されたリチウムイオンバッテリー(右)。そのメリットは軽量なだけではない。

走行性能や実用性の向上に大きく寄与するトピックが、「リチウムイオンバッテリー」の採用だ。「タンク容量が2リットル増加したにも関わらず、車両重量はベース車の8Sから1kg軽くなっているという点は、リチウムイオンバッテリーの恩恵が大きい」とチーフエンジニアの加藤さんは話す。

エリーパワー製リチウムイオンバッテリーは、従来の鉛バッテリーと比べ60%程度の小型サイズで、重量は2.1kg軽くなっている(鉛:3kg、リチウムイオン:890g)という。実際に手に取ってみるとその差は歴然だ。だがそのメリットは軽量化だけではない。

ひとつが長寿命だ。スズキのシミュレーションによると、期待寿命は10年だといい、従来の鉛バッテリーと比べると約5倍もつことになる。また「自己放電性」も大きく改善する。

スズキ GSX-8T/8TTに採用されたリチウムイオンバッテリーのメリットスズキ GSX-8T/8TTに採用されたリチウムイオンバッテリーのメリットスズキ GSX-8T/8TTに採用されたリチウムイオンバッテリーのメリットスズキ GSX-8T/8TTに採用されたリチウムイオンバッテリーのメリット

バッテリーはバイクを動かさずに置いておいてもわずかに放電し続けてしまうという特徴がある。冬の間、しばらく乗らずに置いておいて、久しぶりに乗ろうと思ったらエンジンがかからなかった…という場面に遭遇するのは「ライダーあるある」だろう。これが自己放電によるもので、鉛バッテリーの容量が半分になってしまうまでの期間が125日なのに対し、リチウムイオンバッテリーはなんと740日だという。約2年放置しておいても、エンジン始動ができるということだ。

また、充電時間についても優位性がある。特にその効果が大きいのが冬場だ。バッテリーは気温が低い時には充電性能が低下するため、エンジンを掛け続けて走行しているのにバッテリーが上がってしまった、という経験をしたことがあるライダーもいるのでは。

スズキ GSX-8T/8TTに採用されたリチウムイオンバッテリーのメリットスズキ GSX-8T/8TTに採用されたリチウムイオンバッテリーのメリット

スズキによると、鉛バッテリーの場合50%→80%を充電するのに外気温23度ならわずか10分なのに対し、マイナス10度では4.2時間も掛かるのだという。それがリチウムイオンバッテリーなら23度で3.5分、マイナス10度でもわずか5分で完了する。この差は大きい。

電気自動車の話題でも聞かれるが、リチウムイオンバッテリーは価格が高いのがネックだ。また、コネクタが異なるためそのまま既存のバイクに搭載できるわけでもない。だが8T、8TTではこれが新車装着されているので、購入直後からそのメリットを享受することができる。この安心感とメンテナンス性の高さは嬉しいポイントだ。

デザイン、走り、そしてこだわり抜いた高い実用性。スズキのバイクが新ステージに突入した。

スズキ GSX-8T/8TTの開発陣。左からチーフエンジニアの加藤幸雄さん、テストライダーの佐藤洋輔さんスズキ GSX-8T/8TTの開発陣。左からチーフエンジニアの加藤幸雄さん、テストライダーの佐藤洋輔さん

《宮崎壮人》

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