動力性能の鍵を握るATFの存在…その役割と交換時期、その手順は?

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ATF交換作業のようす
ATF交換作業のようす 全 10 枚 拡大写真

ATFの劣化は快適性や燃費にネガティブな影響を与える

オートマチックトランスミッションフルード (以下ATF)と聞いて、なにを思い浮かべるだろうか。車検や点検のタイミングで交換を進められる油脂類の一種、という認識がほとんどだろう。ただ、ATFの役目は、エンジンオイルと同じように、AT内部の摩擦部分を潤滑するということだけではない。エンジンで発生させた動力を駆動輪に伝達したり、AT内部を循環することで発熱を逃がすといった役目も持っており、ATFはCVTを含むAT車にとって、定期的なメンテナンスが必要不可欠かつ重要構成要素のひとつである。

【画像全10枚】

エンジンオイルと同様、ATFは経年や走行距離により劣化する。とくにストップ&ゴーによる変速回数が多くATに負荷のかかりやすい日本の道路は、高温にさらされやすくATFにとって非常に過酷な環境といえる。ATFが劣化すると、伝達効率の低下による燃費の悪化、変速時の滑り感やシフトショックの増大によるドライバビリティや快適性の大幅な低下を招くことになる。これは通常のステップATだけでなくCVTについても同様で、無段変速のためシフトショックこそ感じることはないが効率の低下という面で劣化の影響が出てきてしまう。ATFの劣化は車そのものの劣化と言っても過言ではないほどの影響をもたらしてしまうのだ。

◆効率性と保護性能に優れる最新の高性能ATFは

ATの高効率化・複雑化もあって、近年の車種ではATFの油量は増加傾向にある。たとえばトヨタの3代目『プリウス』(ZVW30)の場合は、規定量は3.6リットルだがドレンプラグを外しただけでは全てのオイルを抜ききることはできない。ATFを完全に入れ替えるためには廃油を抜いて新油を入れ、エンジンをしばらくかけて循環させる等の作業を4~5回繰り返す必要があるため、10リットル以上のATFが必要になる。

今回、ATFの交換による効果を探るために、量販車種代表として先に挙げた3代目プリウスと、中古車代表として編集スタッフが所有するスズキ『セルボ』(型式 HG21S FF/4AT 2010年式)を用意。チョイスしたATFはカー用品店やディーラーなどでも広く扱われているカストロールのポピュラーな高性能ATF、「TRANSMAX FE マルチビークル」だ。厳しい品質要求基準を満たしたベースオイルのみを使用し、最新の添加剤技術を組み合わせることで始動時の動力ロスを低減するなど省燃費性能を高めつつも、優れたAT保護性能を持たせている点が特長だ。本製品は、例えばトヨタ純正品「トヨタオートフルードWS」を使用する、一般的なステップATの搭載車両に適合する。また、プリウスなどのように金属ベルトを使用しない電気式CVTにも本製品は適合する。

◆2万~5万kmでの交換が目安

ATFの交換推奨時期は、メーカーや車種によってもまちまちだが、一般的には2万~5万km毎の交換が目安になるとされている。頻繁に替えれば良いというわけでもなく、また、10万km以上ATFを交換していない車両に交換すると、かえってATのトラブルを招く可能性もある。たとえばカストロールは「初回ATF交換の場合は総走行距離5万Km以上(CVT車、軽自動車、ハイブリッド車は4万Km以上)の車両」「2回目以降のATF交換の場合、総走行距離が8万Km以上の車両」「新車登録から10年以上経過した車両」といった条件に当てはまる車両へのATF交換は推奨していない。

今回ATFの交換は、神奈川県相模原市の「オイルマン 陽光台店」に依頼した。オイルマン陽光台店のスタッフによれば、「ATFは熱膨張します。車種によっては、適正量を交換するためには油温を低めに保たねばならないので、冷間時の交換を推奨しています」とのこと。今回はプリウスを前日に持ち込んでおき、全交換作業を依頼した。プリウスにはATFのオイルパンがなく交換用のATF圧送ポンプ(ATFチェンジャー)を利用することができないため、下回りでの作業となる、ドレンプラグからすでに入っているATFをまず抜き取り、抜き取ったATFと同量を上部にあるリフィルプラグから注入。その後、エンジンをかけて数分間回し循環させたのち、エンジンを止めて再度ドレンプラグから抜き取り→リフィルプラグから注入、という作業を数回おこなってATFの全交換をおこなった。一方セルボは、ATFチェンジャーによる交換作業を実施。こちらも10リットル弱を消費して全交換をおこなった。

次回は、ATF交換後に実際に約100kmを市街地から高速道路まで走行し、フィーリングやドライバビリティ、そして燃費の面でどのような変化をもたらしたかについてレポートしよう。

《山谷克明》

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