ATFの交換で中古車の走りはどう変わるか

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プリウスは金属ベルトを使用しない電気式CVTを採用しているため、CVTフルードではなく一般的なATFを用いる
プリウスは金属ベルトを使用しない電気式CVTを採用しているため、CVTフルードではなく一般的なATFを用いる 全 11 枚 拡大写真
ある程度走行距離を重ねたハイブリッドカー(トヨタ『プリウス』(ZVW30))と軽自動車(スズキ『セルボ』(HG21S))の2台それぞれでATFを交換し、フィーリングや快適性の変化を確かめた。


◆シフトレスポンス、ダイレクト感とも向上

神奈川県相模原市でATF交換を実施した後、同市市街地を経由して清川村との境にある宮ヶ瀬ダムに向かい、周辺のワインディングロードを周回。相模原ICから圏央道を南下して、海老名ジャンクションより東名高速に出て横浜青葉ICで降りるという100km弱のコースを走行した。今回は、カー用品店やディーラーなどでも広く扱われているカストロールのポピュラーな高性能・省燃費ATF「TRANSMAX FE マルチビークル」を使用している。

交換直後にまず体感できるのは、ダイレクト感の向上だ。これはとくにプリウスで顕著。プリウスの場合、金属ベルトのない電気式CVTを採用しているため、もともともシフトショックはなくスムーズさは折り紙付きだが、新品ATFへの交換で、エンジンの回転数上昇に伴ってリニアに加速する感覚が増した。

セルボも基本的には同様。シフトショックの大幅な改善はみられないものの、ステップAT特有の滑り感が改善され、心なしか歯切れ良くシフトチェンジするようになった。今回のデモカーとなったセルボのように、軽自動車のNAモデルはパワーが限られるため例えば、信号待ちから停止からアクセルをベタ踏みした際のアクセルのツキも改善されたように感じられた。


◆ある程度距離を重ねたクルマはATFへのケアが必要

今回ATFの交換を依頼したオイルマン陽光台店のスタッフは、「優れたATFは高品質なベースオイルを使用していること、またAT保護に有効な添加剤が含まれていること、という条件が必要です。長期間交換しないATFにとって、伝達効率や潤滑性能の性能を維持するという点でベースオイルの品質は重要です」と説明する。今回テストで利用したTRANSMAX FE マルチビークルは、厳しい品質要求基準を満たしたベースオイルのみを使用していることをうたう。

効率向上による省燃費化については、今回交換前と交換後で条件を揃えた厳密な燃費計測をおこなっておらず、今回のコースの後半部分は高速道路主体となっていたため、あくまでも参考の数値になるが、プリウスは交換後の燃費が31.4km/リットル、セルボは18.4km/リットルという燃費値だった。実用燃費計サイト「e燃費」に掲載されている平均実燃費(プリウス:20.98km/リットル、セルボ15.46km/リットル)を上回る値となった。

一般的にATFの交換は6000円から8000円程度が相場だが、今回のようにATFの全交換するとなると10~15リットル程度のATFが必要となるため、工賃合わせ1万5000円~3万円程度の交換費用がかかる。全交換は費用的に一般的ではないとはいえ、3~8万km走ったクルマであれば通常交換でも効果は十分に体感できるだろう。マイカーの健康を保つという点でも、ATFの交換に関心を持っておくことは悪くない。

《山谷克明》

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