警視庁、暴走族対策の秘策「車両停止装置」など、次々導入

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警視庁の暴走族対策(世田谷区)
警視庁の暴走族対策(世田谷区) 全 5 枚 拡大写真

今や昭和の遺産となりつつある「暴走族」。グループ数、構成員数ともに減少し、警察庁の調べによると、03年~12年で構成員数は66%減少し、グループの小規模化、ゲリラ化が進んでいると分析する。

首都圏では富士山の初日の出を目指す「初日の出暴走」が分散、沈静化。房総や湘南などの海を目指す初日の出暴走へと変化を見せ始めた。こうした暴走族の変化に合わせて、取締りもより機動的な対応を迫られている。

警視庁は21日、年末年始の暴走族対策(30日~2日)を前に、検挙のための数々の新しい対策を公開した。

昨年から交通機動隊などに導入しているのは「エアフェンス」だ。空気で膨張させて立ち上げ、完了すると長さ約3.5m、高さ1.3mほどのフェンスになる。オートバイや乗用車が衝突しても、運転者に大きなダメージを与えることなく車両を止めることができる。

これまでもエアフェンスはあったが、大きく持ち運びが不便だった。改良型は軽量化されて、空気を抜いて丸めると50cmほどにまとまる。パトカーのトランクに積むことができるようになったため、大がかりな人員を必要とすることなく設置が可能になった。

暴走族の走行を止めることは、取締りにとって重要な課題だ。

「暴走族は警察官の停止や合図に従わないばかりか、警察官をはねてでも逃走する特長がある」(交通部・三藤晋也参事官)

その逃走を妨げる装置が「車両停止装置」(NK-2)だ。収納時は巻物のようになっているが拡げると、先端がとがった長さ5cm、直径5mmほどの中空パイプが剣山のように並んでいる。車両がその上を通過するとパイプがタイヤを貫き、走行不能になるという装置だ。

さらに、逃走車両を特定するための「着色球発射装置」も用意されている。金融機関を襲う強盗犯対策で使われる着色球と仕組みは同じ。衝突するとボールがはじめて蛍光色の特殊塗料が付着する。

暴走族対策ではボールの大きさを直径2センチほどに小さくして、圧縮空気で押し出し連射、大量の逃走車両に向けて発射できるように考えられている。

「暴走による騒音運転は迷惑になる。必ず検挙する。共同危険行為についても現場で対応できない場合は、事後捜査で必ず検挙する」(暴走族対策室・斎藤友幸室長)

暴走族は実数では減少しているが、その中に占める刑法犯の割合は増加し、先鋭化していると考えられている。

《中島みなみ》

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