【VW ポロ ブルーモーション 試乗】エントリーグレードであれば「可」だが…中村孝仁

試乗記 輸入車
VW ポロ ブルーモーション
VW ポロ ブルーモーション 全 15 枚 拡大写真

実は単にアウディ『A1』と同じ1リットル3気筒ターボエンジンを搭載した『ポロ』だという以外、一切の予備知識なくこのクルマに試乗した。で、どうだったかというとA1で感じた感触はまさにそのままだった。

【画像全15枚】

峠道をガンガン飛ばせて、快適かつとてもBセグメントのモデルとは思えない堂々とした乗り味を持っている。

VWポロのモデルレンジはTSIコンフォートラインと、TSIコンフォートラインアップグレードパッケージという2モデルが基本で、これにクロスポロやブルーGT 、それに特別枠ともいえるGTIが用意されて、合計5モデル。これに新たにブルーモーションが加わったということなのだが、何故かこのブルーモーション、限定扱いなのである。だから、本来ならば40th エディションやラウンジといった限定枠と同列で語らなくてはいけないのかもしれないが、しかしどう考えたって限定車のわけがないから、通常のラインナップモデルとして評価をしたいわけである。

冒頭で予備知識無く乗ってしまったと書いたのは、ある種の反省があるからである。個人的に他のポロが1.2リットルTSIエンジンを搭載し、ブルーGTは1.4リットル、GTIは1.8リットルを搭載するから、そのヒエラルキーから言って、1.2リットルを搭載するブルーモーションも、てっきりエントリーポロだと思っていたのである。

ところが価格的には1.2リットルのTSI系よりも高価で、ブルーGTの下に位置する中間グレードなのだ。つまりはエントリーグレードではない。性能的にも最大トルクこそ1.2リットルと同じだが、パワーは5ps凌駕する。まさにエンジンサイズだけでは物事を推測できない下剋上の世界である。とはいえ、5psパワーアップされているからと言って、それを顕著に体感できるレベルではなく、性能的には大差ないというのが実際の印象であった。

では1.2リットルポロと比較した時に値段を上回るだけの価値があるのかという点である。まず燃費。JC08モード燃費では23.4km/リットルで、TSI系の22.2km/リットルを上回る。車両重量はブルーモーションの方が30kgほど軽い。装備はほぼアップグレードパッケージに相当し、ヘッドライトのみLEDではなくバイキセノンが使われている。というわけだから、もっぱらチョイスの主眼は3気筒の走りか4気筒の走りかという点に絞られてしまうわけだ。

確かに3気筒エンジンは軽快感があってきびきびと走ることは認める。ノーズが少しだけ軽いからそうした演出ができるのかもしれないが、正直なところそれ以上でも以下でもなく、音を聞いているとさすがに少しだけ悲しくなる。別に悪いと言っているわけではないが、では4気筒と聞き比べた時にどちらがいいかと言われると、やはり4気筒。それに性能に差がそれほどなく、なおかつ4気筒の方が安いとなるとなおさらだ。

アウディA1に乗った時はそれを素晴らしいと感じた。何故ならあれがエントリーグレードだったからである。しかもそのお値段、269万円からで何とブルーモーションよりも9000円安い。もっとも装備を比較したら完全にアウディの負けで、ACCなどその設定すらないから、仮にエンブレムのグレードを差し引いたところでVWに軍配を上げてしまうが、それはあくまで同じエンジンを積んだ、アウディとVWを比較してのことである。

何故ブルーモーションがこれほど高価な正札を付けているのか正直わからないのだが、仮にこれがTSIコンフォートラインの下に位置していたなら、大いに価値があると思う。というわけで、確かに装備はてんこ盛りだから価格が高くなるのはわかるのだが、それがTSIコンフォートラインアップグレードパッケージより高いのはいかがなものか…と考えてしまうのである。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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