【ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッド 試乗】ポルシェのさらなる未来を感じた…山崎元裕

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ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッド
ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッド 全 16 枚 拡大写真

ポルシェが「E-Performance」と表現するコンセプトは、自動車の運動性能と環境性能をより高いレベルで両立させることを目的としている。今回試乗したPHEVの『パナメーラS E-ハイブリッド』は、『カイエンS E-ハイブリッド』とともに、まさにこの最新のコンセプトを具現化したモデル。

ちなみにポルシェは、2015年のフランクフルトショーで、4ドアEVスポーツ・コンセプトの「ミッションE」を世界初公開、後にその生産化を明言するに至っているが、E-Performanceコンセプトの象徴ともいえるPHEVの重要性は、しばらくは変わることはない。

パナメーラS E-ハイブリッドのパワーユニットは、3リットルのV型6気筒スーパーチャージャー・ガソリンエンジンに、クラッチを介してエレクトリックモーターを組み合わせたものだ。注目の最高出力は、ガソリンエンジンが333ps、エレクトリックモーターは95ps&310Nmというスペックで、システム全体では416psを発揮する。

バッテリーはリチウムイオン方式で、容量は9.4kWh。これによってポルシェは「Eパワーモード」と呼ぶ、ゼロエミッションのEV走行は、135km/hを最高速として、最大で36kmを可能とする。急速充電には対応していないが、240V電源を使用すれば4時間以内でバッテリーを満充電することができる。自宅や勤務先での充電という一般的な使用環境を考えれば、あるいはEV走行のみでドライブを終えることができるカスタマーも多いだろう。

まずはEパワーモードを選択して、パナメーラS E-ハイブリッドの試乗をスタートした。メーターパネル内には、現在のバッテリー残量でどれだけのEV走行が可能であるのかを示すインジケータが備わっており、それがゼロになれば自動的にエンジンが始動し、ハイブリッド走行が始まる。Eパワーモードでの走りは、パナメーラの大柄なボディーサイズをハンデと感じさせないほどにスポーティーで、そしてもちろん快適の一語に尽きるものだった。アクセルペダルを踏み込んでいくと、途中でその踏力が大きくなるところがあるが、これは不用意にエンジンを始動させないための、ドライバーの意思確認という意味合いを持っている。

Eパワーモードでも、十分に魅力的な走りを披露したパナメーラS E-ハイブリッドだが、これにエンジンのパワーが加わると、当然のことながら走りにはさらなる鋭さが生み出される。PHEVであっても、そしてまた4ドアサルーンであっても、それはあくまでもスポーツカーメーカーとして長い歴史を刻んできた、ポルシェというブランドが演出する世界だ。この状態でも走行状態に応じてエンジンは自動的にストップし、燃料消費を抑えてくれるが、さらにスポーツモードを選択すると、エンジンは常時パワーを発揮し、また組み合わされる8速ATもより積極的に高回転を使用する制御へと変わる。

エンジンとエレクトリックモーターの連携、あるいはフットブレーキと回生ブレーキの協調も、実に自然なものだった。そしてもうひとつ忘れてはならないのが、走行中にバッテリーの充電を最も高効率で行うために用意されている、Eチャージモードの存在だ。それを効果的に使うことで、渋滞が予想される市街地に入る前にバッテリーを充電し、Eパワーモードでの走行に備えるといったこともできる。もちろん将来的にはナビゲーションシステムなどとの連携で、目的地まで最も効率的な充電パターンをクルマ自身が考え、そして制御することも可能になるのだろう。ポルシェのPHEVが持つ魅力とともに、未来へのさらなる可能性を感じた試乗だった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。

《山崎 元裕》

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