【ポルシェ ケイマン GTS 試乗】オプション追加で 911 をも超越する…山崎元裕

試乗記 輸入車
ポルシェ ケイマン GTS
ポルシェ ケイマン GTS 全 13 枚 拡大写真

ポルシェはミッドシップスポーツの『ケイマン』&『ボクスター』にも、「GTS」の称号を掲げるモデルを用意している。

今回試乗したのは「ケイマンGTS」で、そのパフォーマンスやキャラクターは、「S」と「GT4」との中間という位置づけになる。このあたりの事情は、『911シリーズ』の「S」、「GTS」、そして「GT3」の関係と同様だ。

ケイマンGTSに搭載されるエンジンは、3436cc仕様の水平対向6気筒自然吸気で、最高出力はSに対して15ps増となる340ps。エクストラはバリオカム・プラス(可変カムシャフト機構)の制御や、専用のエグゾーストシステムの採用等々によって得られている。参考までにボクスターGTSのパワーユニットは、ケイマンGTSとの比較では10ps控えめなスペックとなる。ミッションは6速MTと7速PDKのチョイスが可能だが、試乗車には6速MTが組み合わされていた。

ケイマンSに対しての15psのエクストラ。これを走りの中で確認することは、同時に両車を比較するチャンスがなければ正直なところ難しい。もちろんこのパワーユニットは、自然吸気エンジンらしく常にナチュラルなパワーフィールと魅力的なレスポンスを披露するし、もちろんそのパフォーマンスそのものは十分に満足できる。6速MTのシフトフィールも剛性感があり好ましく、さらにセンターコンソール上のスイッチでスポーツプラスモードを選ぶことで、PASM=ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントの制御やエグゾーストサウンドが明確に変化するのと同時に、シフトダウン時にはオートブリッピング機能が働くようになる。それによってドライバーは、ブレーキングとステアリングの操作にさらに集中することができる仕組みだ。

ケイマンGTSのハンドリングは、ともかくシャープな印象に尽きる。パワーユニットでは残念ながらSとの違いは明確に感じることはできなかったが、コーナリングでのオン・ザ・レース感覚、そして車体をコントロールする楽しさは、明らかにGTSに独自の世界と評してもよい。

標準装備されるダイナミックトランスミッションマウントやPASM、あるいは20インチ化されたタイヤや、これもSとの比較では10mmローダウンされた車高など、GTSにはさまざまな特徴があるが、その効果が見事なまでに走りの中に表れているのだ。ここからさらに、PTV=ポルシェ・トルク・ベクトリングや、PCCB=ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキといったアイテムをオプションで追加していけば、その走りは、最終的には911をも超越するレベルにも達するだろう。

すでに報じられているとおり、ポルシェは2016年にケイマン&ボクスターのビッグマイナーチェンジを計画しており、ニューモデルは「718ケイマン&718ボクスター」と呼ばれることになる。最大のトピックスは搭載エンジンが自然吸気の水平対向6気筒から、ターボ付きの水平対向4気筒へと変更されること。興味深いのはこの新型から、ボクスターはケイマンよりも上に位置づけられるモデルとなることで、それによってパワースペックのヒエラルキーも変化する可能性がある。ポルシェの次なる戦略が明らかにされる日が、今から楽しみだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。

《山崎 元裕》

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