【池原照雄の単眼複眼】吉永富士重工業社長、100万台到達も「次は150万台とかは言わない」

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スバル インプレッサ セダン コンセプトと富士重工業 吉永泰之社長(ロサンゼルスモーターショー15)
スバル インプレッサ セダン コンセプトと富士重工業 吉永泰之社長(ロサンゼルスモーターショー15) 全 8 枚 拡大写真

この4年で1.5倍に拡大する世界販売

富士重工業(スバル)は2016年の世界販売を103万3000台(前年比6%増)とする計画を発表した。日本の乗用車メーカー8社では最も販売数量が少ないが、初めて100万の大台に到達する。業績も16年3月期の営業利益、純利益が4期連続で最高を更新するなど絶好調が続く。新たな成長を描く局面にあるものの、吉永泰之社長は「次は150万台とか、200万台とかは言わない」と、規模への傾斜には距離を置く構えを示す。

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販売計画のうち、国内は横ばいの16万2000台としているが、海外は7%増の87万1000台を目指す。販売数量と収益の成長を支える主力の米国は6%増の61万5000台と、09年から8年連続での最高更新となる計画だ。世界販売も達成すれば5年続きの最高だが、その起点である12年(70万7000台)からは46%の成長となる。この4年で、ざっと1.5倍に拡大するのだ。

◆試験研究費は念願の1000億円レベルに

スバル車にとっての100万台は、11年6月に就任した吉永社長が、その直後に策定した中期計画で「成長目標として10年以内での達成」を掲げた数値だった。20年くらいに実現すべきターゲットとされていたので、4年の前倒しになる。100万台の意義を吉永社長に質すと「世界で100万のお客様にご愛顧いただくのは、本当に嬉しい」と、いつになく率直に喜びを表現した。

00年代を通じ「50万から60万台の時代が長かった」(吉永社長)だけに、明らかに成長限界のカラを破ったことになる。そもそも、吉永社長が就任時に100万台を掲げたのは「世界で強まる環境規制などを考えると、一定の試験研究費(研究開発費)を確保しないと成長できない」との危機感を強くもったためだった。

世界販売が50万台規模で低迷していた時代には、研究開発費も500億円規模を投じるのが精いっぱい。それが、16年3月期には990億円となる見込みで、吉永社長が最低限レベルと見てきた1000億円規模を確保することができるようになった。ただ、環境対応技術については開発要員も含むリソーセスはまだ十分とはいえないので、「いまPHV(プラグイン・ハイブリッド車)を教えていただいている」というように、トヨタ自動車との提携で補完していく。

問題は「ポスト100万台」の成長路線だが、冒頭のように吉永社長は150万台といった次のターゲットは当面、示さない考えだ。世界市場のなかでは、特定のセグメントで強さを発揮する「ニッチャーでいい」とも言い切る。グローバルの新車需要は、中国が世界トップに躍進したように新興諸国でのモータリーゼーションが成長をけん引すると見られている。

◆安定的な「高位利益率」を優先する

だが、吉永社長の世界観は「自動車は成熟産業」と慎重だ。故に「台数を伸ばすのは大変であり、それよりも利益率を重視したい」と、100万台後の針路を示す。14年に策定した20年までの経営ビジョンである「際立とう2020」でも、「安定的に業界高位の営業利益率の確保」を掲げている。

富士重のこの3月期の連結売上高営業利益率は17.1%と、世界の量産自動車メーカーでは最高であり、10%水準のトヨタも大きくリードする。足元の利益率は「為替でかさ上げされ、あり得ないくらいの数字」(吉永社長)なので、このレベルを維持するのは至難となる。

来期(17年3月期)以降は為替が利益率押し下げに作用する可能性が高い。また、世界販売のうち6割を占める米国市場への過度な依存を緩和するには、他地域での台数成長も必要となろう。吉永社長が就任6年目に入る来期は、ここまでの順風が一変し、厳しい舵取りに立ち向かう展開も予想できる。

《池原照雄》

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