東海道線の“名阪特急”、大阪発着特急「しなの」のレクイエム

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大阪と長野を結ぶ特急「しなの」が京都駅に到着。朝方の長野行きは0番ホームに、夜の大阪行きは7番ホームに滑り込む
大阪と長野を結ぶ特急「しなの」が京都駅に到着。朝方の長野行きは0番ホームに、夜の大阪行きは7番ホームに滑り込む 全 10 枚 拡大写真

東海道線を行く“名阪特急”がまたひとつ消える。ことし3月のダイヤ改正で、大阪と長野を結んでいた特急「しなの」(9・16号)の、大阪~名古屋間が取りやめられ、同区間を結ぶJR在来線特急が姿を消す。

1日1往復で運転されている 大阪発着の「しなの」は、9号(2009M)で大阪を8時57分に出ると、京都9時25分、米原や岐阜にも停車し、名古屋11時00分、長野に13時53分に着く。

折り返し16号(2016M)は、長野14時04分、名古屋17時03分、京都18時50分、大阪19時18分という行程。名古屋と大阪の間は、新幹線で52分前後だが、この“JR在来線名阪特急”では2時間以上かかる。

車両はJR東海の383系6両編成。長野方からグリーン車(1両)で、指定席車(3)、自由席車(2)と続く。JR東海の在来線車両がJR西エリアの大阪方まで入るという運用も珍しい。

2月はじめの朝夕、京都駅や大阪駅で特急「しなの」を見ると、グリーン車の乗客はほぼゼロ。指定席車・自由席車とも5~10人という具合。

そんな利用客のなかには「大阪と名古屋の間を、この『しなの』を利用する人もいますよ」と乗務員はいう。

「2~3人? いやいや、もう少しいますよ。時間に余裕がある人なんですかね。新幹線のほうがよっぽど速いのにあえて、こっちに乗って。これに乗って座ってゆっくり向かう人も結構いますよ」

東海道線の名古屋~米原~京都~大阪間(の一部)を走る特急は、寝台列車「サンライズ瀬戸・出雲」や、関空特急「はるか」、高山線方面の「ワイドビューひだ」、北陸線方面の「サンダーバード」「しらさぎ」などを残すのみ。

倉庫業の営業マンという50代の男性は、「長野の取引先に行くときはこれ使う。名古屋で乗り換えるもめんどいし、車内販売なんかなくていいし」という。

この“大阪発しなの”は、JR西・東海・東と、3社の線路を走り抜く所要5時間の長距離列車。前出の男性は、「米原を過ぎたあたりかな。西日本の車掌になると『あぁ帰ってきた』っていつも思う」と笑った。

新幹線が日本の大動脈を担うようになり、東京と大阪、さらには北陸・中国・四国・九州などを結んだ在来線優等列車が次々と消えた。そしてまたひとつ、“国鉄の線路を行く名阪特急”が3月に消える。

《レスポンス編集部》

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