京王電鉄、コンセント付きの新型車両を導入へ…「座れる通勤電車」で運用

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京王電鉄が導入する5000系の外観イメージ。2018年春に運行を開始する「座席指定列車」で運用される。
京王電鉄が導入する5000系の外観イメージ。2018年春に運行を開始する「座席指定列車」で運用される。 全 3 枚 拡大写真

京王電鉄は3月16日、運賃とは別に座席指定料金を支払うことで乗車できる「座席指定列車」を2018年春から運行すると発表した。これに合わせて新型車両も導入する。

発表によると、座席指定列車は夜間の帰宅時間帯に、新宿発・京王八王子行きと新宿発・橋本行きの片方向のみ運行。料金の金額や列車の愛称はまだ決まっていない。投資額は約100億円としている。

これに伴い、座席指定列車に対応した5000系電車を50両(10両編成5本)導入。車両の製作はJR東日本グループの総合車両製作所(J-TREC)が担当する。外観は従来の車両との違いを明確にするとして「シャープな正面形状」を採用。先頭部のカラーリングに黒を用いて「スマートな列車」を表現するという。

内装は高尾山の「木々の深いブラウン」と、「繊維の街」として知られる八王子の絹糸をモチーフとし、「華やかな室内空間」を表現する。座席はロングシート・クロスシート転換座席を採用。通常はロングシートになるが、座席指定列車で運行する場合はクロスシートに切り替える。

車内案内表示器は、ロング・クロスシートのどちらの状態でも画面が見やすいよう、ドアの上部だけでなく天井部にも設置する。このほか、空気清浄機や無料公衆無線LAN、電源コンセントなども設置する。

走行装置では、新技術の車上蓄電池システムを導入する。電車がブレーキをかけた際に発生する電力(回生電力)を蓄え、走行用電力として使用するためのシステム。これにより走行時に必要となる電力の削減や、停電時の自力走行用の電力の確保を行う。橋りょうなど乗客の避難が難しい場所で架線からの電力供給が絶たれた場合でも、近くの駅まで自力で走行できるようになる。

京王電鉄が座席指定の列車を導入するのは、これが初めて。同社は2015年5月に策定した中期経営計画で「有料座席列車」の導入を検討するとしていた。今回の発表では「勤務先や外出先からのお帰りに際して、長距離区間をご利用になられるお客様の着席ニーズにお応えするため」座席指定列車を導入する、としている。

京王線に並行するJR中央快速線では2020年度をめどに、現在の10両編成にグリーン車2両を増結して12両編成に増強する計画がある。また、東武鉄道がロング・クロスシート転換座席車両を使った有料の着席保証列車『TJライナー』を東上線で運行するなど、着席保証型の通勤列車の導入が近年各地で活発化している。

《草町義和》

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