STEM教育の現場、子どもたちが4脚ロボット製作に挑戦

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埼玉大学サテライトキャンパスで行われた「STEM Camp 2016」(3月31日)。子どもたちが4脚ロボットの製作に挑戦した
埼玉大学サテライトキャンパスで行われた「STEM Camp 2016」(3月31日)。子どもたちが4脚ロボットの製作に挑戦した 全 30 枚 拡大写真

「まっすぐに前に進ませるのが難しい」。子どもたちがドライバーを片手に、ロボットの足の角度を調整していく。3月末、春休み中の子どもたちが、大宮駅前の教室で2日間にわたり、4脚ロボットの製作に挑戦。自発的なものづくり「STEM教育」の現場を見た(写真30枚)。

今回、埼玉大学サテライトキャンパスの教室に集まった子どもたちは、男子16人、女子2人。小学3年生から中学3年生まで、学年はばらばら。プログラムは、2日間かけて4脚ロボットを1人1台製作し、最後に歩行コンテストを行うという流れ。4脚ロボット教材の基本構成は、埼玉大学STEM教育研究センター代表・野村泰朗准教授(同大教育学部)らが開発、キット化した。

子どもたちは、プラスチック段ボールとプラスチックパーツ、マイクロコントローラ基板や電池を、ドライバーやカッターを使って組み立てていく。基本骨格は共通だが、ボディや脚の形状などに子どもたちの考え方や独創性が注ぎ込まれる。

2日目の3月31日の午後、教室では、完成間近のロボットを試走させる子どもたちの姿があった。“カニ歩き”を2つ組み合わせたような構造で、「前に進ませるのが難しい」とみな口をそろえる。子どもたちは、思い描く前進イメージに近づけるために、コントローラで足を運ぶ速度を調整しつつ、接地部分にゴムをつけたり、脚の稼動角度を調整したりと、黙々と手を動かしていく。

ひとつの脚には、水平方向に回転するモーターと、縦に回るモーターの2個がつく。この稼動角度を調整することで、前に進むようになる。脚のジョイントパーツ類は、野村准教授の研究室にある3Dプリンターで量産したもの。

野村准教授は子どもたちに「8つのモーターをどのタイミングで動かすかというシンプルなもの。モーターはデジタルマイクロサーボ SG90という最もよく使われているモーターで、Amazonで1個500円で買える。コントローラは研究室でつくったものだけど、市販のものでもつくれる。ボディのプラスチックダンボールはホームセンターで売ってるもの。モーターなどを動かすプログラムコードは、埼大ホームページからダウンロードできるから、誰でも好きなときにこの4脚ロボットをつくれる。この場で終わりではなく、帰ってから研究・改良を続けてほしい」と伝えていた。

「みんなきょう、こうして4脚ロボットを完成させたけど、あの『アシモ』をつくってる会社ってどこだっけ?」(野村准教授)
「ホンダ!」(子どもたち)
「そう。これから、こうしたロボットが登場して、タイヤ(が付いた乗り物)で行けない場所へも、行ける時代がやってくるかも。たとえば車いす。いまはタイヤが付いているけど、脚型の車いすも研究されている」(野村准教授)

このSTEM教育は、科学(Science)、テクノロジー(Technology)、工学(Engineering)、数学(Math)に重点をおいた分野。埼大STEM教育研究センターは、ラーニングシステム(横浜市)と産学連携でインドなどの海外学校教育向けカリキュラムの共同開発などをすすめるという。

2日間、黙々とロボットをつくってきた子どもたち。終盤、4脚のひとつが折れ、泣いてしまう男の子がいた。悔し涙を流した彼と、3脚で歩こうとするロボットに、まわりの子どもたちが「がんばれー!」と声をかけていた。

《レスポンス編集部》

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