【VW ポロ GTI 6MT 試乗】日本車メーカーがこれを作らないでどうする…諸星陽一

試乗記 輸入車
VW ポロ GTI
VW ポロ GTI 全 10 枚 拡大写真

『ポロ GTI』のMTは、2015年6月にじつに6年ぶりに導入されたMTモデル。このタイミングで『ゴルフ GTI』、『ゴルフR』という2台のMTモデルも追加された。

『up!』の上に位置するコンパクトモデル「ポロ」のスポーティモデルがGTI。当初、日本に導入された時点では7速DSGの2ペダルモデルのみがラインアップされていたが、この2015年6月のタイミングで6速のMTが追加されている。基本的なスペックはDSGモデルと同様で、ボディ全幅が1685mmの5ナンバーサイズ。

搭載されるエンジンは1.8リットルターボ。最高出力は192馬力とDSGモデルと同じ数値となっているが、発生回転数はDSGが5400-6200rpmであるのに対し6MTは4300-6200rpmと1100rpmも低い回転数からパワーが絞り出されている。また、最大トルクについてもDSGの250Nmに対して、6MTは320Nmと圧倒的な高さを誇る。

さて走りだ。まず、ポロというクルマのサイズが日本の道路事情にベストマッチしている。そもそも日本でクルマを元気よく走らせようとしたら5ナンバーサイズでなければ難しい。それは道路の幅を考えれば容易に想像できるはずだ。全幅1685mmは日本を走るために生まれてきたクルマじゃないかと思わせるほどのマッチングのよさ。

しっかりしたクラッチペダルを踏み、ギヤを選びながら走るのはスポーツドライブをしている感覚にあふれている。DSGもダイレクト感のあるドライビングが可能だが、MTはさらにダイレクト感のあるドライビングができる。ソリッド感と言ってもいいだろう。タイヤとドライバーがつながっている感覚が強い。

2ペダルのほうがステアリング操作に集中できる…という考え方もあり、それはそれで正しいのだが、クラッチペダルとHパターンのミッションの組み合わせは、走りの選択肢が広がる。たとえばクラッチを使って駆動力をカットするとか、ギヤを飛ばしてセレクトするとか…DSGではできなかったりやりづらかったりすることもできる。そうした特殊なテクニックを使うことのない走りでも、クラッチペダル付きのモデルはヒールアンドトゥでリズムを取りながら走るといったこともできる。それも大きな魅力だ。

エンジンのパワーは十分にあり、低回転からしっかりとトルクが盛り上がるので、コーナーで減速したのちの再加速がしっかりと行える。ショックアブソーバーの減衰力やステアリング特性、排気音を「ノーマル」と「スポーツ」に切り替え可能なスポーツセレクトによって、ハンドリング特性を選べるという機能も備える。「スポーツ」ではガシッとしまった特性となり、ワインディングで次々に現れるコーナーをヒラリヒラリとこなしていける。

車両本体価格は327万5000円。これは『アルファード』のボトムグレード、マツダ『ロードスター』のトップグレードとほぼ同じ価格帯。そう考えるとなかなか手を出せるモデルではない。本来なら日本車メーカーがこうしたクルマを作り、若者に選ぶ機会を与えるべきだ。国産なら、もっとリーズナブルな価格設定が可能だろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. メルセデスベンツ車だけに特化!走りを静かにする「調音施工」認定店が埼玉県三郷市にオープン
  3. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  4. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
  5. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る