自動車部品サプライヤー大手の「ヴァレオ」は、5月25~27日までパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展 2016 」に出展した。その中で注目したのが電動スーパーチャージャーと、遠隔操作で霜取り・虫汚れ除去ができるワイパーシステムだ。
電動スーパーチャージャーは『e4Boost』との名称が付けられ、ベルト駆動式スタータージェネレーターと組み合わせているのが特徴だ。電動スーパーチャージャーだけでも、パワーを発揮するまでのタイムラグを最小限に抑えつつ、取り付けレイアウトの自由度が高いというメリットはある。しかし、ジェネレーターと組み合わせることで、減速エネルギー回生システムのセット化が回生によってバッテリーを充電。電動スーパーチャージャー自体が優れたエネルギー効率を発揮する過給器になるというわけだ。
会場には欧州車で採用されることが多い48V駆動と、日本車などが対象となる12V駆動の2タイプが展示された。特に48V駆動の電動スーパーチャージャーは高電圧化した車両に対応するもので、高電圧化はレスポンス向上に貢献し、過給制御がより緻密に行えるようになる。すでにアウディにも供給が決定しているという。なお、この製品は「2016年オートモーティブニュースPACE 」を受賞したことでも注目を浴びた。
遠隔操作で霜取り・虫汚れ除去ができるワイパーシステムは、正式には「Remote Clean4U」との呼称が付く。もともとはワイパーゴムに仕組まれた穴からウォッシャーを吹き出す「アクアワイパー」がベースで、この機能は既にメルセデスベンツ
『Sクラス』に採用済み。それを霜取り用と虫汚れ除去用の液剤を組み合わせたのが新しい。担当者によれば、霜取り機能は90秒かからずにフロントガラスの霜を解凍でき、虫汚れ除去では45秒という短時間で洗浄除去できるという。
特に霜取り機能はスマートフォンから専用アプリで動作させることができ、冬期の霜取り作業から開放されるメリットがある。なお、液剤は冬に向かう時は霜取り用を装着し、夏に向かっては虫汚れ除去用をそれぞれ交換する必要はあるが、これはOEM先の要望に応じてより使いやすく改良を加えることも可能だという。