【人とくるまのテクノロジー16】48Vシステムに第3のデバイスを追加した次世代ディーゼル

自動車 ビジネス 企業動向
AVLが開発中の48Vディーゼルハイブリッドシステム。48Vの電源とISG、それに電動コンプレッサーでターボをアシストする。48Vを2つの出力系統で使用する。
AVLが開発中の48Vディーゼルハイブリッドシステム。48Vの電源とISG、それに電動コンプレッサーでターボをアシストする。48Vを2つの出力系統で使用する。 全 2 枚 拡大写真

ISG(発電機一体型スターター)の電圧を高めて効率を高める48Vシステムのマイルドハイブリッドは欧州メーカーを中心に導入のための開発が進められているが、今回の人とくるまのテクノロジー展では、さらに発展したシステムが見受けられた。

アシストのためのモーターであるISGだけでなくダウンサイジングターボを組み合せ、さらに電動ターボにより過給圧の立ち上がりを改善しようというものまで出現している。

リカルドとAVLが展示したのは、48Vシステムを組み合せたダウンサイジングディーゼルだが、どちらもさらに一捻りされたパワーユニットを開発中のようだ。

AVLは件の電動ターボによるアシストを追加しており、加速時にはISGと電動タービンの両方が電力を消費することから、電源システムはかなり大掛かりなものを組み合せていた。エンジンの排気量は1.7リットル。おそらく搭載を想定しているクルマは普通クラスの乗用車だろうから、従来より相当排気量が小さいディーゼル車となるイメージだ。

リカルドの方はさらにユニークで、1.5リットルのターボディーゼルに48Vシステムを組み合せ、ターボチャージャーのタービンを通過した排気ガスに残っているエネルギーをeタービンと呼ぶタービン型発電機で回収し、ISGを回す電力として蓄えるようだ。ただしEGRは高圧のみ、という構造になっていたから、排ガスのエネルギー回収はますます取り合いになりそうである。

eタービンを経由せずDPFなどの後処理システムへ直接排気ガスを導くための切り替えバルブも備えられていた。これはDPFの再燃焼時に切り替えるための機構だろう。

それにしてもここまで補機類が高度にシステム化されてくると、むしろエンジンが補機類を動かすための脇役にも思えてくる。はたしてエンジンと補機類のどちらが主役か分からなくなってくる。それくらい今後、エンジンの効率化にとって補機類の高度化は不可欠。燃焼技術による熱効率向上よりも、熱損失の回収を進める方向の方が実現は早そうだ。

《高根英幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 狭い道! 制限1.7mでコンクリートブロック付き、道幅は5mあるけど?…東京都板橋区
  2. ニックネームは“赤いコスモ”、50年前に登場した2代目ロータリースポーツ【懐かしのカーカタログ】
  3. 【レンジローバー ヴェラール 新型試乗】ああ、紛うことなくレンジローバーだ…島崎七生人
  4. ダンロップのオールシーズンタイヤが安く買えるようになる?…独占禁止法の疑い
  5. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ…注目ニュースベスト5 2025年上期
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る