【メルセデスベンツ GLC 試乗】700万円オーバーも Cクラスワゴン と比べれば割安…松下宏

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ GLC
メルセデスベンツ GLC 全 17 枚 拡大写真

『GLC』はメルセデスベンツ『Cクラス』の基本プラットホームをベースに作られたSUVだ。従来は「GLK」と呼んでいたモデルがGLCになった。GLKは左ハンドル車しか作れないクルマだったので話にならなかったが、今回は(日本では)右ハンドル車だけの設定になった。それだけでも大きな進歩である。

GLCは全高をやや抑えたパッケージングを採用するものの、全長は4660mm、全幅は1890mmもあって、ボディは相当に大きくなった。メルセデスベンツらしく良く切れるステアリングながら、最小回転半径は5.7mとかなり大きい。

外観デザインは抑えた全高によってクロスオーバーモデルに近い感覚になった。フロントグリルにスリー・ポインテッド・スターが配置され、その左右の横バーを太めに設定することで、乗用車とは違うSUVらしい力強さを表現している。

インテリアはCクラスのものをほぼそのまま流用した感じで、メルセデス・ベンツらしい質感を備えるとともに、操作性やスイッチ類の節度感などにも文句がない。

搭載エンジンはGLKはV型6気筒3.5リットルだったが、GLCは直列4気筒2.0リットルのダウンサイジング直噴ターボに変わった。C250に搭載されているのと同じエンジンで、155kW/350N・mを発生する。従来のV型6気筒3.5リットルに匹敵する実力であり、Cクラスよりも一足先に9速ATの9Gトロニックと組み合わされている。

SUVボディで4WDなので重量は重く、ベースグレードのGLC250でも1800kgに達するが、動力性能は十分な実力があり、その重さを感じさせないような軽快感のある走りを実現する。

Cクラスのワゴンよりも良く走るような印象を受けたのは、9速ATが極めてスムーズ変速を示すことも貢献していると思う。走りのフィールはとても好ましいものだ。

ただ、9速ATは必ずしも日本向きの仕様にはなっていない。一般道を60km/hで走っていると使っているギアは5速だし、高速道路を時速80kmで走っても7速、時速100kmでも8速という具合である。Dレンジのままで走っていると9速のギアを使い切れないのだ。

100km/hではパドルを操作してやっと9速1400回転での走りが可能だったが、普通にすべてのギアを使い切るには更に高い速度で走らないといけない。でもそれでは日本では速度違反になる。なので、9GトロニックATも日本向けのチューニングをしてほしいと思う。

GLCにはCクラスと同様、部分的な自動運転ともいえるような運転支援装備が標準設定されている。レーダー・セーフティ・パッケージは今どきの自動ブレーキの中でも最も充実した仕様である。

試乗した「GLC250 4MATICスポーツ」(本革仕様)の価格は745万円。けっこう高いなと思ったが、「C250ステーションワゴン・スポーツ」(本革仕様)の価格は738万円だ。SUVボディで4MATICであることを考えると、GLCの方が割安ということになる。実際には装備の違いもあるのだが、高いか安いかは考え方にもよるようだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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