新型新幹線 N700S、「進化」から「最高」へ…世界最軽量・低コスト・編成自由

鉄道 企業動向
東海道・山陽新幹線 次期新幹線車両N700S確認試験車の製作について(JR東海、6月24日)
東海道・山陽新幹線 次期新幹線車両N700S確認試験車の製作について(JR東海、6月24日) 全 9 枚 拡大写真

2020東京五輪と時を同じくして登場する東海道・山陽新幹線の新型車両N700Sは、床下機器とそのレイアウトを見直し、編成両数に自由度をもたせ、「世界最軽量」をうたって世界へ打って出る。

N700系をベンチマークとし、「進化した」(Advanced)という意味が込められたN700Aの登場から5年、「最高の」(Supreme)とうたうN700Sの新造が発表された。JR東海は、「N700系以来のフルモデルチェンジとなる次期新幹線車両」と位置づけ、プロトタイプ(確認試験車)を2年後の2018年3月に完成させ、量産モデルを2020年度中に営業運転させる。

“最高の東京五輪モデル”、N700Sは、JR東海の6月24日付プレスリリースにあるとおり、より安全・安定で快適、軽量化・省エネ化が図られ、フレキシブルな車両組成などが特徴。外観は空気抵抗やトンネル通過時騒音をさらに低減させるデュアル スプリーム ウィング形先頭形状が印象的。そのイメージデザインにはヘッドライトなどが省かれ、「標識灯については今後検討」と付け加えられている。

JR東海が「フルモデルチェンジ」とうたう進化のひとつに、編成両数の自由度アップがある。N700Aまでの床下機器配置を見直し、モジュールの小型化・軽量化を図り、再配置。これまで8種類あった床下機器設置パターンを、東京方先頭1種、中間車2種、新大阪方1種の合計4種類とシンプル化し、連結パターンに柔軟性をもたせた。これにより、東海道新幹線の現状16両に加え、九州や山陽で走る8両や12両といった編成にも対応。「基本設計の変更なく、様々な編成構成に対応が可能」という。

また、こうした自由度をもたせた次世代型N700Sを「標準車両」と位置づけ、「『標準車両』の実現により、一層高品質な車両を、低コストかつタイムリーに、国内外問わず提供可能」とし、海外へも販路を拡大させる構え。

国内には、JR九州の800系が6両、JR西日本の500系、700系ひかりレールスター、山陽・九州直通N700系などが8両、JR東日本・西日本のE7系・W7系などが12両。JR東日本エリアのミニ新幹線をのぞく編成には、10両のものもある。海外に輸出されたモデルのひとつに、700系ベースの台湾高速鉄道700Tがある。こちらは12両編成だ。

また、床下レイアウトの最適化に加え、そこに載る機器も軽く小さくなる。JR東海、東芝、三菱電機、日立製作所、富士電機で開発した小型・軽量駆動システムにより、従来タイプより2割軽くなり、最大軸重は11トン。16両編成の編成重量は700トンを切る。

「コンセントもあり乗り心地よく省エネ、安全で安定していて、線路や軌道にもやさしい」というN700Sは、「世界最軽量」というキャッチでも世界へ打って出る。N極とS極の力ですすむリニア新幹線の開業より先に、国内外で活躍する「最高のN700」の姿が見られるか。

《レスポンス編集部》

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