【トヨタ オーリスハイブリッド 試乗】旧 プリウス と同じシステムでも、走りは独自フィール…松下宏

試乗記 国産車
トヨタ オーリスハイブリッド
トヨタ オーリスハイブリッド 全 12 枚 拡大写真

『オーリス』に追加されたハイブリッド車は、旧型『プリウス』の基本メカニズムを移植したものだ。1800ccエンジンに電気モーターを組み合わせたTHS-IIで、リダクション機構を持つほか、30.4km/リットルというJC08モード燃費も先代プリウスの主要グレードと同じ数値である。

40km/リットルを超える燃費を出すプリウスが発売された後で、何で今さら旧型プリウスのメカニズムを使ったハイブリッド車なのか、疑問に感じる人も多いのではないか。

トヨタはハイブリッド車のフルライン化を目指しているほか、昨年に投入したターボ車があまり売れなかったことなどから、欧州でも販売しているハイブリッド車を日本向けにも投入したのだろう。台数規模は少ないが、ハイブリッド車投入後のオーリスの販売は伸びている。

オーリスハイブリッドはいくつかの部分で先代プリウスと異なっている。後輪にダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用するほか、ニッケル水素電池の搭載位置も違う。

走行感覚にも違いがある。オーリスハイブリッドは欧州で販売するために、欧州で嫌われるCVTの“ラバーバンドフィール”を極力解消した走りにしているからだ。

モーターに余裕があるときには、モーターにできるだけ仕事をさせるような制御をし、逆にモーターが十分に働いているときには燃料を濃いめに噴射してエンジンの動力性能を高めている。プリウスよりもややスポーティな走りだ。

といっても、燃費のデータが同じであることからも分かるように、このオーリス専用チューンは際立った違いではないのだが、アクセルワークに対して素直に反応し、より自然でスポーティな感覚の走りを実現している。旧型プリウスの走りとは違うオーリスの走りだ。

足回りも好感が持てた。後輪にダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用したことで、乗り心地と操縦安定性をうまくバランスさせた印象だ。やや硬めで引き締まった感じの乗り心地は好ましいものだった。

オーリスハイブリッドは現行プリウスと価格帯がオーバーラップする。なので、どちらを選ぶかは悩ましいものがある。燃費を重視するなら現行プリウスだし、スポーティさを重視するならオーリスということになるのだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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