【インタビュー】マツダ アクセラ 柏木主査「Gベクタリングコントロールはあくまで要素のひとつ」

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マツダ アクセラ 開発主査 柏木章宏氏
マツダ アクセラ 開発主査 柏木章宏氏 全 24 枚 拡大写真

2013年に登場し、グローバルではマツダの世界販売の約3割を占める『アクセラ』(海外販売車名はマツダ3)。今回、最新鋭の制御技術であるGVC(G-ベクタリングコントロール)など徹底的に細部にまでこだわった内容はまさに“大幅改良”の名にふさわしい出来だ。

国内ではCセグメントモデルの販売はやや低迷しているが、今後も含めアクセラの進化の狙いについて『デミオ』の主査も兼務する商品本部の柏木章宏氏に話を伺った。

◆マイナーチェンジという言葉は使わない

----:アテンザ、CX-5に続く“大幅改良”ですが、なぜマツダは“マイナーチェンジ”と呼ばないのですか?

柏木章宏主査(以下敬称略):元々“商品改良”という言葉は使っていました。それに大小の規模が加わります。ただマイナーチェンジという言葉から連想する従来のイメージとは異なるものだからです。

----:アクセラはグローバルで見ると重要なコアモデルと位置づけられていますが、過去を振り返ってここまでの実績はどうでしょうか

柏木:グローバルの販売実績で見れば、ほぼ我々の狙い通りの推移をしています。ただ日本の市場で見るとCセグメント自体が縮小状況にありますので、それに合わせた数字になっています。一方、商品の評価としては第三者的なものとしてはワールド・カー・オブ・ザ・イヤーとデザイン・オブ・ザ・イヤーの両方でトップ3入りまで行きましたので我々がやりたかった部分は伝わったのかな、と思っています。

----:それでも足りなかった部分があったということでしょうか

柏木:快適性の部分を改善したいと思っていました。道路状況によっては色々な音が抑えきれていないので…まだまだやりきれたとは思っていません。

----:NV性能も含め、具体的にはどのような部分なのでしょうか?

柏木:音の大きさというよりは音質や変化の度合いにも踏み込みました。それは単に「うるさい、うるさくない」というレベルではなくて、クルマ全体の質感を決める大事な要素です。路面や運転状況が変わると音色が極端に変わるのは気になります。それを細かくひとつひとつ改善してきましたし、現在も継続して行っています。

◆クリーンディーゼルの比率を5割に上げる

----:今回、2リットルのガソリンエンジンがラインナップから外れましたね

柏木:日本における毎月1000台レベルの市場ボリュームの中では、アクセラは非常に多くのエンジンラインナップを持っていました。さらにマニュアルシフトもありますが、これは残したかった。そんな中で、お求めになりやすいディーゼルを導入したかったので、残念ながら外しました。

----:つまりスポーツのほうに1.5リットルのディーゼル、セダンのほうにはハイブリッドを設定することで全体のバランスを取ったわけですね?

柏木:その通りです。

----:一方でセダンには改良前に特別仕様車扱いだった2.2リットルのディーゼルターボエンジンが設定されていますが

柏木:数はそれほど多くはありませんが、セダンにディーゼルを入れて欲しいという一定のニーズはありました。特にクルマに対して強いこだわりを持っている方ですね。

----:ディーゼルの水平展開はマツダのビジネスの重要な部分と考えますが、アクセラではどの位の比率まで高めたいと考えていますか

柏木:アクセラの中で約半分はディーゼルにしたいですね。これまでは1割でしたから。

----:今までは2.2リットルのXD(クロスディー)だけだった

柏木:これまでクリーンディーゼルはいいですよ、というお話をしながら、お客様に対し、お求めになりやすいディーゼルモデルが用意できていなかったわけです。

----:そこで1.5リットルディーゼルを投入したわけですね?

柏木:ディーゼルに関しては2つのことを行いました。これまでは2.2リットル車が300万円を越えていたのですが、これを280万円を切る価格まで幅を拡げたこと、そしてその下に230万円台から購入できる1.5リットル車を設定しました。これでデミオ並みにディーゼルの比率を上げられると思っています。

----:売れ筋のグレードというものはありますか。

柏木:装備をより充実させて車両価格が250万円を切るスポーツの「15XDプロアクティブ」はバリューも高いと思います。

◆「Gベクタリングコントロール」はあくまでも要素のひとつ

----:少々意地悪な質問ですが、注目の「Gベクタリングコントロール(GVC)」(ハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを変化させることで、車両の自然な動きを実現する)は、確かにわかる部分はあるのですが、これを言葉で説明して、さらにユーザーに理解してもらうのはとても難しいと思います

柏木:そうですね。実は「GVCがすごいでしょ」というのはダメだと思っています。我々は「クルマ全体としていかがですか?」という部分を絶えず伝えるべきであって、その中の要素のひとつとしてGVCが採用されているわけです。

----:具体的には?

柏木:行き着きたい所は走りの質感の向上であり、滑らかさであるわけです。それではその滑らかさの中にGVCが何割効いているかというのはお客様にとってはどうでも良いことなのです。トータルでこのクルマはいい、と感じていただけることが重要です。先進安全装備にしても対応速度の向上や歩行者検知機能を追加したり、HMIの部分も進化させています。乗っていただくことで、お客様に応える仕上がりになっていると自負しています。

《高山 正寛》

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