【日産 セレナ 新型】パッケージング検証、先代比較も…空間と使い勝手は最高レベル

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新旧セレナ
新旧セレナ 全 11 枚 拡大写真

日本の多人数乗車可能なファミリーカーの定番と言える、Mクラスボックス型ミニバンの日産『セレナ』。

その新型は先代に対してボディーサイズ、ホイールベースは同一(「ハイウェイスター」の全幅のみ10mm増し)。そう、プラットフォーム、エンジンなど多くの部分をキャリーオーバーした新型なのである。

その理由は、話題のオートパイロット、デュアルバックドア、ハイウェイスター専用のハンズフリーオートスライドドアなどの新機能&装備を満載しつつ、価格を先代同等に抑えるためと考えられる。ならば、乗ってみて先代と大きく変わらないのか、と言えば、そんなことはまったくない。

まずは運転席に座ってみよう。先代ユーザーであればその瞬間に一段とパノラミックになり、運転のしやすさを実感できるすっきりとした運転視界に感動できるはず。そもそもツーステップフロアを継承するセレナは先代から1列目席の視界、着座位置が高く、新型も同等なのに(ヒップポイント地上高600mm。ライバル比+30~42mm)そう感じるのは、メーターフードを先代のアーチ状から水平デザインに変更し、さらに高さを1cm低めたから。たかが1cmだが、その効果は絶大だ。またAピラーのスリム化、手前のA'ピラーをブラックアウトしたことも、斜め前方を含めた視界の良さに貢献している。

ミニバンにとって最重要項目と言える後席の居住性も向上している。「G」グレードに標準、「S」グレード以上にOPとなる超ロングスライド機構は、先代の530mm、新型標準の570mmに対して690mmもの超ロングスライド。さらに3列目席にも120mmのスライド機構を設けたことで、クラス最大の室内長(3列目席後端時)を実現している。

実際、身長172cmのドライバー基準で2列目席ひざ回り空間は実測最大520mm(先代:300mm。『ステップワゴン』:360mm)もあり、3列目席でもシートを後方にスライドすることでひざ回り空間は最小でも45mm、2列目席ひざ回り空間を200mmにセットしたとすれば足がゆったり組める250mmに達するのだからすごい(標準スライド車でも140mm。『ヴォクシー』:160mm、ステップワゴン:250mm)。

1/2列目席のヒップポイント地上高、シアター度は先代同様だが、新型の3列目席は2列目席に対して30mm高くセットされ、前方見通し性は抜群。足元の広さと合わせ、居住性は格段に向上している。

また、2列目席のスライド操作性は新たにベアリングを用いることで操作力を軽減。スーッと軽くスライドすることが可能になっている。

3列目席の120mmスライド機構によるメリットはまだある。そう、3列目席をハネ上げ格納する際、シートを手前にセットしておけば、より自然な姿勢で(前に乗り出さずに)操作できるというわけだ。

ちなみに3列目席の乗降方法は先代比でスルー幅が30mm増した2-3列目席スルー、左右ともに横スライドするようになった2列目席を中寄せし、ウォークイン間口を広げたウォークインモードがあるが、2列目席のシートベルトが肩に内蔵され、Bピラーから伸びていないため、一段と快適である。

ところで先代以前からのセレナの細やかな配慮、実用性が1/2列目席からの降車のしやすさ。実は、シートの位置自体はヴォクシーやステップワゴンよりずっと高いのだが(2列目席の先端の地上高はセレナ:830mm、ヴォクシー:760mm、ステップワゴン:790mm)、シートサイドのたわみ量が大きく、降車時、腰を滑らすように降りることができ、地面がより近く感じられるのである。

ステップワゴンがバックドアを縦、横に開けるわくわくゲートを売りのひとつとしているなら、新型セレナは日産車として懐かしい(?)、バックドアのリヤウインドー部分のみ開閉できるデュアルバックドアを新採用。

日本の一般的な駐車場にクルマを停めた時、後方のスペースは約550mmというデータがあるのだが、Mクラスボックス型ミニバンの巨大なバックドアを開けるのに必要なスペースは先代セレナ&ヴォクシーで約950mm、ステップワゴンで最大約1200mm(3段階に横開きするサブドアなら400/640/760mm)。クルマをちょっと前に出さないと開閉できなかったのが実情だ。

しかし新型セレナのデュアルバックドアなら後方に480mmのスペースがあれば開閉可能。これは便利。ただしデュアルバックドア下端地上高は1040mmと高く、重い荷物の出し入れは厳しいのだが……。

《青山尚暉》

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