【スーパーフォーミュラ 第5戦】国本&石浦のセルモインギング勢がシリーズ1-2へ躍進…チーム力充実の背景

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
セルモインギングの#2 国本雄資。
セルモインギングの#2 国本雄資。 全 12 枚 拡大写真

10~11日に土日個別2レース制で開催されたスーパーフォーミュラ(SF)第5戦岡山。そこで際立ったのは、レース2で国本雄資がシリーズ戦初優勝を飾るなどしたセルモインギングの躍進だ。国本がポイント首位、前年王者・石浦宏明が同2位と、目下1-2を占める勢いを見せている。

5大会・計6レースを終えて6人のウイナーが誕生と、混戦が続く今季のSF。レース距離が短めの2レース制大会だった今回の岡山も、ポールポジションが勝ちやすいはずのフォーマットなのに2レースとも優勝者はポールシッターではなく、同じコースでの連日開催なのに2レースで表彰台登壇者が5人出るなど、接戦ぶりを象徴するところであった。ただ、その一方で、混戦を抜け出しそうなくらいの充実度を示した陣営も。

昨年のドライバーズチャンピオン #1 石浦宏明と、今回のレース2でシリーズ戦初優勝を達成した #2 国本雄資、このふたりを擁するセルモインギング(P.MU/CERUMO・INGING/エンジンはトヨタ)である。

日本レース界の伝説的古豪チーム(ファクトリー)といえるセルモと、21世紀になって強豪として台頭したインギング、両者が結びついたことが現セルモインギングの発祥だが、SUPER GTでは13年にタイトルを獲得するなどしているものの、トップフォーミュラ(Fニッポン~SF)では苦戦が続いていた。それが昨年、今年と急速に存在感を高めている。

一昨年から導入されたSF14シャシーへの対応といった変化材料や、それを機にチームが招聘したベテラン石浦の開発能力等が浮上要因として挙げられるところだが、それらに加えて、ドライバーを含めたチームスタッフの一層の充実とその融合の進化、これが大きいようだ。

石浦担当で、セルモインギング参画前にも本山哲らと組んでチャンピオン獲得歴がある日本レース界のトップエンジニア、村田卓児さんは、一時は1台参戦になっていた陣営を2台参戦とし、その体制を本当の意味で機能させることに尽力してきた。

「自分が入って(12年から)2台体制にしたといっても、人や機材の面などでうまく対応しきれない部分が当初、2年くらいはあったと思います」と村田エンジニア。それが「3年目あたりから機能し始めて、今は監督やマネージャー、メカニックを含めたチーム全体として、本当に勝てる体制になってきていると思います」。

村田エンジニアをはじめ、国本担当の菅沼芳成エンジニア、スタッフを率いる村田淳一テクニカルディレクター、セルモの創始者でかつては全日本F3000であのエディー・アーバインらを育てるなどした佐藤正幸さん、そしてGT500では現役のエースドライバーとして石浦と組んで走り、SFでは監督を務める立川祐路、さらには今季から総監督に就任した元フェラーリF1の浜島裕英さん。錚々たる面々だ。

メンバーが揃っているのはもちろんだが、その連携が実に良く機能していることが躍進の理由だろう。今回の岡山でも、国本のセッティングが好調と判断すると、もうひとつの滑り出しだった石浦サイドもその情報を活用してキャッチアップ、レース2での好走へとつなげている。

そのレース2では戦略も絡む展開のなか、どう転んでも国本か石浦が勝つ、という“最強の状態”を創出。セーフティカーやレース前半に他車のペースに抑え込まれたこと等の影響があって石浦は最終的に3位だったが、それらがなければ1-2「いけたんでしょうね」(村田エンジニア)。

レースでの1-2は逃したが、ドライバー部門ポイントランクでは国本と石浦が1-2に。当然ながらチーム部門はトップだ。まだまだ点差こそ大きくはないが、充実の体制(態勢)と状況で終盤戦に向かう。立川監督からは「そろそろ(チーム内王者争いに備えて)ピットでふたりの間に壁をつくらないと」という冗談も表彰台上で飛び出したが、そんな心配はもちろんない。

今季加入の浜島総監督は「チーム一丸、皆のベクトルが同じ方向に向いている状態だと思います」と語り、「僕のミッションは、(昨年は低迷していた)国本くんの復活と(昨年獲得できなかった)チーム部門タイトルの獲得、そしてドライバーズチャンピオンを(どちらかのドライバーで)キープ、という3つですから」と力強く続けた。手応えあり、だろう。

石浦や村田エンジニアの話によれば、今年からヨコハマにワンメイクタイヤが変更されたことへのベースセッティング対応も、当初の昨季仕様アレンジというレベルから、今はタイヤを本当に理解してのタイヤ主導のレベルへと移行してきている様子が窺えるセルモインギング。このまま混戦シーズンの主役を務めあげられるかどうか、終盤2大会もその動きが注目される。

もちろん、チーム王座3連覇中のトムスを筆頭とした他陣営の巻き返しも楽しみだ。SFの次戦はスポーツランドSUGOでの第6戦、開催日程は9月24~25日である。

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  3. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  4. トヨタ RAV4 新型、PHEVのEV航続は150km
  5. タワーバーだけじゃない! ボディ補強パーツの最新事情と乗り味革命~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る