【日産 セレナ ハイウェイスター 試乗】実用性を最大限に重視した日本らしいミニバン…諸星陽一

試乗記 国産車
日産 セレナ ハイウェイスター
日産 セレナ ハイウェイスター 全 13 枚 拡大写真

2014年がトヨタ、2015年がホンダとフルモデルチェンジした5ナンバーベースの3列ミニバン。今年2016年は日産の『セレナ』がフルモデルチェンジし5代目となった。

5ナンバーベースのミニバンに求められる性能、それは乗員が快適に移動でき、しっかり荷物が積めて、安全にかつ経済的であること。それらが置き去りにされたら、ミニバンとして失格。どんなにハンドリングがよくても、どんなにパワーがあっても、それはキワモノでしかない。

日産はそのあたりのことをよく理解していて、セレナはデビュー以来ぶれることなく、この路線を突き進んでいる。そして5代目もそのDNAを見事に受け継いだ。普通に乗って、普通に加速し、普通にコーナリングする。その一挙手一投足には無駄がなく、素直でストレスのない運転ができる。突出した性能を感じることはないが、必要にして十分な動力性能、シャシー性能を披露してくれた。

セレナを走らせ感じたのは、静粛性が非常に高く快適なドライブを実現するだろうということ。今回の試乗ではチャンスがあったので運転席だけでなく、セカンドシートやサードシートにも乗ることができた。サードシートはややノイズが大きめとなるが、それもライバルと比較すれば同程度、フロントシートとセカンドシートはライバルより静かな印象だ。

使い勝手については最新モデルということもあり、かなり研究つくされた仕様となっている。ミニバンの大きな問題点となるリヤゲート開放時の後方クリアランスは2段式リヤゲートで解決。パワースライドドアは、ボディ下側に足を入れ込むことで、手を使わずに開放することが可能となっている。だが、そうした目立つ技術だけでなく、Aピラー形状を工夫するこで視界を確保、キャップレス給油口の採用、USB給電口の大量採用などなど細かい部分もぬかりない。

さて、今回の新型セレナ。なんといっても注目されているのが「自動運転」というキーワード。セレナはACCとレーンキープ技術を組み合わせ、プロパイロットというネーミングの同一車線自動運転を実現した。これは自動運転に向かう新技術という位置づけで見てもらったほうがいいだろう。

プロパイロットで何ができるかと言えば、前走車との距離を一定に保ちながらの追従走行と、車線間の中心にクルマを保つこと。この2つがメインと考えていい。もちろん低速での追従も可能で、渋滞時などはクルマまかせで走ることが可能だ。

ひとつ気になったのはレーンキープを行う際の動きが過敏なこと。ACCだけを作動させレーンキープを解除し、ステアリング操作をドライバーが行えばこの現象はなくなるが、レーンキープを解除するスイッチは存在しない。ユーザーが行うことができる設定で、レーンキープを解除することは可能とのことだが、深い階層までいかないとだめとのこと。スイッチひとつで解除できるようにしておけば、気になるときにはカットできるのでぜひそうしていただきたい。

ただし今回は試乗車がハイウェイスターであったため、タイヤサイズが195/60R16と標準の195/65R16よりも扁平率が低いことも影響していた可能性もある。次回の試乗時には標準タイプでチェックをしたい。

300万円を切る車両本体価格で、追従型ACCを装備したのはなかなかの企業努力。ファミリーミニバンを探しているなら、セレナは間違いなく筆頭候補になる存在だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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