29日、ボッシュの女満別テストコースにおいて、同社の自動運転やADAS技術搭載車の試乗会が開催された。開発中の対歩行者緊急ブレーキシステムや危険回避操舵アシストなどいくつかのデモや試乗が体験できた。
歩行者対応自動緊急ブレーキ(AEB Pedestrian)は、EuroNCAP 2018で導入される車両の影からでてくる歩行者の検知、保護を実現する自動ブレーキシステムだ。実験では、35km/hから40km/hで走行中、右側の縦列駐車車両の影から5km/hで移動する歩行者ダミーがとびだしてくる。ドライバーはブレーキ操作をせずそのまま突っ込むが、電動ブレーキブースターによる強制ブレーキによってダミーにぶつることなく車は停止する。
センサーはミリ波レーダーと単眼カメラの2つを利用して、より早く正確に歩行者の動きを検知する。デモ車両には高精度のGPSアンテナが付いていたが、これはブレーキ制御とは関係なく、ダミーをスタートさせるトリガーを正確に出すために利用しているという。
このデモは運転席で体験できた。ダミーの飛び出しがわかっているため、実験のタイミングなら自分でブレーキを踏んでもギリギリ止まれそうだったが、歩行者(ダミー)の発見が一瞬でも遅れたら間に合わない。また、電動ブースターの踏力はかなり強力で、相当な急ブレーキとなる。一般のドライバーが安定してこの踏力でパニックブレーキを踏めるかといったら、おそらく否だ。
試乗会では、他にも高速道路での自動運転、緊急回避操作をアシストする衝突回避操舵支援(ESS:Evasive Steering Support)、プリクラッシュポジショニングやシートベルトプリテンショナーなどパッシブセーフティとエアバッグや緊急ブレーキなどアクティブセーフティを組み合わせた統合安全システム(ISS:Integrated Safety Systems)のデモも行われた。
どれも、事故防止や安全性向上に貢献が期待できる技術だったが、単体機能ごとに実装しても個別のシチュエーションに対応できるだけともいえる。実用面で総合的な安全を高めるためには、これらのADAS技術を統合的に実装され、状況ごとに的確に制御されるシステムが望まれる。オートパイロットは、これらのADAS技術の積み上げで実現されていくことが、社会的受容をクリアしていく近道といえるだろう。