【日産 GT-R 2017モデル 試乗】高性能スポーツと思えぬ総合性能、ただ装備に時代を感じる…諸星陽一

試乗記 国産車
日産 GT-R 2017モデル
日産 GT-R 2017モデル 全 13 枚 拡大写真

今回のマイナーチェンジで最終型になったと言われる日産の最強スポーツモデル『GT-R』。一般道とサーキットでその実力を確かめるべく試乗を行った。

試乗車として用意されたのは、MY2017の最新GT-R。ロードインプレッション用として「プレミアムエディション」、サーキットインプレッション用として「ニスモ」と「トラックエディション・エンジニアード・バイ・ニスモ」がスタンバイされた。

プレミアムエディションのロードインプレッションで感じたのはその直進安定性の高さ。一般的に後輪駆動よりも前輪駆動のほうが直進安定性は有利なのだが、GT-Rが基本が後輪駆動なのに恐ろしいまでの直進安定性を確保している。ステアリングはドシッと座り、路面の荒れなどはものともせずに真っ直ぐ走る。それもフロント255、リヤ285というブッ太いタイヤを装着してこの性能を確保しているのだから大したもの。

プレミアムエディションはその名前からも想像できるように上級指向のセッティグを施した仕様。GT-Rのポテンシャルを考えた場合、かなり高いレベルの乗り心地を確保しているといえる。細かい振動は伝わってくるが、サスペションの動きはスムーズでフリクションは少ない。排気音やタイヤノイズなどはそれなりに車内に入ってくるが、けっして不快なレベルではなくスポーツカーを楽しんでいる雰囲気を味わえる。

サーキットではウエット路面となった。用意されたモデルは600馬力のニスモと、570馬力のトラックエディション・エンジニアード・バイ・ニスモが用意された。これだけのパワーを誇るクルマをウエットのサーキットで走らせるのは不安が募るものだが、GT-Rでなら話は別。限界ギリギリのきわどい走りをしない限り、GT-Rはどの世代であってもドライバーに安心感を与えてくれる。

コースは袖ヶ浦フォレストレースウェイ。ピットロードをゆっくりと発進しながらコースイン。すぐ先の1コーナーをインベタで回り、ステアリングが直進状態になったタイミングからグッとアクセルペダルを踏こむ。今さらだが加速は爆発的。しかし姿勢を崩すことはない。どこまでも安定している。

最初のブレーキングは失敗した。タッチがシャープで、思ったよりもブレーキが効いてしまう。ミニサーキットとも言える袖ヶ浦フォレストレースウェイでは最高速もさほど上がらない。300km/hからのブレーキングもこなさなくてはならないGT-Rのブレーキを、普通のクルマと同じ踏み方をしてしまった。ブレーキはタッチが難しいわけではないので、きっちり意識してやればどんな速度からでも必要な制動力、および荷重移動を得られる。

コーナリングはもちろんバツグンの安定感を誇る。しっかりとフロント荷重にしてから、コーナーにアプローチしてあとはアクセルを踏み込みながら加速しつつコーナーをクリアしていく。こうした効率のいい走りができるのがGT-Rの魅力にほかならない。以前はシフトチェンジのパドルスイッチがステアリングコラム側にあったが、現行モデルはステアリング側に移されたためステアリングを持ち替えないドライブをしている際のシフトチェンジがやりやすくなり、サーキット走行では従来より扱いやすさがアップしている。

ただ、世の中が大きく動き、自動ブレーキや追従型クルーズコントロールが当たり前になってきている今、スポーツモデルといえどもそうした機能の搭載は求める人が増えるだろう。ましてや1000万円を超えるモデルだ。そうした装備を付けたうえで、スポーツ性を主張できないのはちょっときびしい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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