【ホンダ NSX 試乗】未来のスポーツカーを具現化した…諸星陽一

試乗記 国産車
ホンダ NSX 新型
ホンダ NSX 新型 全 14 枚 拡大写真

新型『NSX』が形となって見えるようになってずいぶん長い月日が流れたが、やっと公道での試乗が叶った。

NSXの試乗会は港町、神戸で行われた。まずは突堤で撮影をしてから、クルマに乗り込んだ。試乗車の数が少ないため、2名乗車での試乗となったのだが…助手席に誰かが乗ってしまうとカメラなどを置くスペースがない。シートを前にだせば、多少の荷物は置けそうだが、カメラなどは置きづらい。助手席に彼女を乗せたらハンドバッグは持っていてもらわないとならないし、自分が仕事帰りならアタッシュケースも女性に預けないとならない…つまり、そんなストイックさを求めるクルマでもあるわけだ。

システムを起動するとエンジンが息を吹き返す。これは上手な演出だ。ハイブリッドなのだからエンジンが始動する必要はないのだが、このシャープなスタイリングでエンジンがかからないのではつまらない。そうした状況であえて電動走行を試すために走行モードをクワイエットモードにする。走り出しは実にスムーズ。アクセルペダルを踏めば、ススッと前に進んでくれる。クワイエットモードだからといって、ずっとモーターだけで走れるというわけではない。ちょっとアクセルを踏み込んだり、速度が35km/h前後になるとエンジンが始動しハイブリッド状態となる。

高速道路に流入してからはモードをスポーツに変更した。エンジンは軽々と吹け上がり、乾いたエキゾーストノートを響かせながら加速する。加速感は言うことなしの力強さ。日本の高速道路では、かなり限界を感じる。やっぱりNSXはサーキットなのかな?と思うが、極上の乗り心地と静粛性を享受するとやっぱりGTカーとしてロングツーリングを楽しむものかも…とも思う。

このスポーツモードの上にはスポーツ+(プラス)モード、さらにサーキットなどを走ることを前提としてトラックモードがある。スポーツプラスモードにするとエンジンの排気音はさらにスポーティな音質になるとともに、アクセルレスポンスやサスペション、ステアリングなどのセッティングもシャープさを増したものとなる。さらにトラックモードとなれば、エンジンサウンドはさらにアップ。すべてのセッティングがスポーティでシャープとなる。

ハンドリングは秀逸という言葉がぴったり。今はまさにベクタリング技術が大流行で、クルマを素直に曲げていくデバイスが当たり前のように装着されている。そうしたなかでもNSXに採用されている「スポーツハイブリッド SH-AWD」は次元を超えたコーナリングを実現している。すべてのタイヤが最高のパフォーマンスを発揮してガンガン、グイグイ曲がっていく。試乗コースが六甲山だったので、ペースをあげることは難しかったが、それでもNSXのハンパない高性能は満喫できた。

日本で2000万円を超えるスポーツカーが普通に販売されるのはちょっと驚異的なことだと感じる。もともとNSXは海外ではアキュラブランドとして特別なラインアップとなっているのだが、日本ではホンダのクルマとしてホンダのディーラーで販売される。軽自動車を売っている店で、NSXを買うということにプレミアム感はあるのだろうか…と考えるのは余計な心配なのだろうか?

今回のNSXは非常に高価なクルマなので、コストパフォーマンスなどは無視しての絶対評価で★の数を付けさせてもらった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  3. “プチカスタム”でサマードライブの楽しさをブーストアップ![特選カーアクセサリー名鑑]
  4. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
  5. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る