【メルセデスベンツ Eクラス 試乗】先代 Sクラス も超えている…青山尚暉

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ E200アバンギャルド スポーツ
メルセデスベンツ E200アバンギャルド スポーツ 全 17 枚 拡大写真

メルセデスベンツ『Eクラス』にはこれまで「250」、「300」などの数字がグレード名としてつけられてきた。

今回試乗した10代目となる新型Eクラスのベースグレードは「200」である。先代Eクラスでも250は2リットルエンジンだったが、Eクラスとして「200」という数字に抵抗があるかもしれない。

しかし最初に言っておけば、2リットル直4ガソリンターボ、184psのパワーユニットでも、動力性能に関してはまったく心配いらない。胸のすく加速力の持ち主なのである。

さて、メルセデスベンツの中核モデルであるEクラスの新型は、特に先代『Sクラス』を超えるインテリアの質感、高級感、乗り心地と攻めた時の!? 安定感、そして半自動運転の「プロドライブ」の採用が目玉。

スタイリングは新世代のC/Sクラスと共通するデザインで、劇的な新型感はない。しかしドアを開け、運転席に乗り込めばモダンラグジュアリーな新型らしさは120%伝わってくる。

インテリアはまさにデジタル感あふれるコクピット。12.3インチのワイドスクリーン、ファッションからインスパイアされたという製造が難しい曲線を多用したシートデザインなど、CクラスのスポーティーさとSクラスのエレガンスを融合させた空間だ。

未来型Eクラスとして力を入れたのは半自動運転機能「ドライブパイロット」。

レーダー+2D/3Dステレオマルチパーパスカメラを備え、今では当たり前の前車追従機能に加え、半自動運転中にウインカーを出すと約2秒で周囲のクルマを確認しつつ、タイムラグ最小限かつゆるやかに自動レーンチェンジを行ってくれる「アクティブレーンチェンジ」、クルマがドライバーの反応がないと判断した場合、自動で減速し、ハザードランプを点灯させ完全停止させる「アクティブエマージェンシーストップ」、衝突が回避できないとクルマが判断した場合、衝撃音発生の前にシュッというプレ音を出し、鼓膜へのダメージを低減する機能、360度カメラによる「パーキングパイロット」なども持ち合わせる。

もっとも、現時点で「ドライブパイロット」が日常的に威力を発揮するのは渋滞時の前車追従機能が中心だろう。こうした先進安全機能、半自動運転機能はまだ過渡期であることを肝に銘じたい。

試乗したE200は「アバンギャルドスポーツ」。大径19インチのランフラットタイヤを履くスポーティーグレードだった。

出足からの加速感は素晴らしくシームレスで伸びやかなもの。とにかく静かでたとえエンジンをリミットの6000回転まで回しても車内への透過音は見事に押さえられていた。そして中間加速も「200」というグレード名からは想像もできないほど強力だ。速さ、という点で悲観することは、まずない。その理由は、先代比約70kgの軽量化と、エンジンとATのマッチングの良さにあるはずだ。

グッドイヤーイーグルF1というスポーティーな19インチタイヤを履く乗り心地は文句なくフラットながら、はっきり言って硬く、路面によってゴツゴツしたタッチがぬぐえない(ショックの角はしっかり丸められているが)。

その分、カーブなどでの路面の張りつき感は素晴らしく、操縦安定性は真正スポーツサルーンと言えるレベルにある。とにかく走りは軽快。ステアリングを切るとクルマは手足のように動き、飛ばすほどに巨体が感じにくくなるほど、クルマとドライバーの一体感は強い。

が、Eクラスらしい乗り味か? と言われると疑問が残る。

古くからのEクラスユーザーなら、もう少ししっとり重厚な乗り味を期待するはずだからだ。であれば、Cクラスでもまったく同じことが言えた経験から、アバンギャルドの標準車、17インチタイヤ装着車を選ぶと納得・満足できるかもしれない。ディーラーの試乗車もタイヤ&ホイールの見栄えのいいアバンギャルドスポーツを用意していると思うが、乗り心地重視ならなんとしても標準型アバンギャルドの試乗をお願いしてみるべきだ。

ちなみに5つ星評価のペットフレンドリー度の項目は、今後追加されるステーションワゴンの予想評価である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。

《青山尚暉》

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