【ダイハツ ムーヴキャンバス 試乗】男にも乗ってみたいと思わせる、雰囲気と魅力… 吉田匠

試乗記 国産車
ダイハツ ムーヴキャンバス
ダイハツ ムーヴキャンバス 全 8 枚 拡大写真

ワゴンタイプの軽自動車は各メーカーから無数に出ているけれど、そこに最近、ちょっとユニークな雰囲気を持つクルマが登場した。ダイハツの『ムーヴキャンバス』である。

【画像全8枚】

ユニークなのはそのボャスタイリングで、これまでのダイハツのワゴン系の、『ムーヴ』や『タント』のような角々とした機能一点張りな感じとも違うし、いかにも若い女性ウケを狙った『ココア』のような感じとも違い、顔の印象の強さが目につく『キャスト』の感じとも違う。

ボディサイズは全長3395×全幅1475×全高1655mm、ムーヴより少しだけ高いけれどタントのようなハイト系ではないという、微妙な高さを持つ。スタイリングの基本は機能重視のスクエアなワゴンスタイルだけど、角が適度に丸められていてどこにも鋭いエッジが目につかない。しかも、全高1700mm以下の軽で初の、両側電動スライドドアを採用しているのが大きなポイントだ。

もうひとつ特徴的なのはボディカラーで、通常の単色仕様の他に、ルーフやボディサイドの一部にホワイトもしくはグレーに塗った2トーンのストライプカラーが選択可能なことだ。なかでも、ファインミントメタリックにパールホワイトを組み合わせたモデルなんかを見ると、旧いクルマに馴染みのある年代は、フォルクスワーゲンのマイクロバスを連想する。

実はそのことはメーカー自身もちゃんと意識していて、「キャンバス」という車名の綴りは、色々なことができる=canと、マイクロバスの=busを組み合わせた、
canbusという造語から来ているのだという。

とはいえこのムーヴキャンバス、昨今の軽自動車のご多聞に漏れず、メインとするターゲットは若い女性だ。さらにより細かくいえば、独身女性とその母親が共同使用する可能性もあるクルマ、というのをイメージしているという。

若い女性がメインターゲットなのは、インテリアにも表現されている。ブラックも選べるものの、シートの基本はベージュ系のクロス張りで、リアシートの下にはショッピングした荷物袋やトートバッグなどを置ける、「置きラクボックス」なる引き出しが備わっている。

そこで実際に乗ってみると、1655mmという全高、頭から上が妙に余ってしまうほど天井高ではなく、それでいて充分な余裕もあって、男が乗ってもちょうどいい感じだ。2分割式のリアシートは、240mmのロングスライドとバックレストのリクラインが可能で、ここにももちろん男が乗っても余裕たっぷりな空間が確保されている。

この日は首都高をはじめとする都内で1時間半ほど試乗したが、印象的だったのは、女性がターゲットというイメージと違って、シャシーの感触が想像以上にしっかりしていることだった。つまり、ステアリングに甘さはないし、サスペンションも適度に締まっているから、首都高のコーナーをいいペースで抜けてもまるで危なげがない。さらに、ブレーキも確実なタッチでパワフルに効くのも好ましい。

ただしその反面、乗り心地はもう少しソフトでもいいかなと思ったけれど、それでも決して硬すぎるわけではない。エンジンは658ccの3気筒で、女性がターゲットということでNA仕様のみの設定で、CVTと組み合わせられる。FWD=前輪駆動と4WDの2種類があるが、乗ったのはFWDだった。NAエンジンは52psと6.1kgmを発生、対する車重はFWD仕様で920kgある。

動力性能は普通に使うならまったく問題ないレベルにあるが、首都高あたりで“男走り"をしようとすると、ちょっと物足りない。というわけで親爺ドライバーとしては、ターボ仕様のエンジンが欲しくなったというのが正直なところだった。それもできればパドルで操作するマニュアルモードを、オプションでもいいから備えていると嬉しい。

なぜならこのムーヴキャンバス、女性だけではなく、男にも乗ってみたいという気を起こさせる雰囲気と魅力を持っているからだ。そこで敢えて、ターボ仕様の追加をリクエストしておこうと思った次第であります。だからオススメ度は、ジェントルなドライバーには★5つ、走り屋には★4つ、ということになる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★☆

吉田匠│モータージャーナリスト
1971年、青山学院大学卒業と同時に自動車専門誌『CAR GRAPHIC』の編集記者としてニ玄社に入社。1985年、同社を円満退社、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。『僕の恋人がカニ目になってから』(ニ玄社)、『男は黙ってスポーツカー』『ポルシェ911全仕事』『男は笑ってスポーツセダン』(双葉社)など、著書多数。

《吉田匠》

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