【ダイハツ ムーヴキャンバス 発表】パッケージング考察…このクラスの軽自動車の常識を覆した

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ダイハツ ムーヴキャンバス
ダイハツ ムーヴキャンバス 全 15 枚 拡大写真

「デザインと使い勝手が最大のアピールポイント」となるダイハツ『ムーヴキャンバス』は、そのネーミングからすればダイハツを代表するムーヴをベースに造られたデザイン×便利=新しい軽自動車となる。

が、プラットフォーム、パッケージングは『タント』がベース。後席に子供を乗せる前提(?)のタントと違うのは、あくまで20歳代後半~30歳代前半の独身女性をターゲットとした前席優先のパッケージング。ダイハツの女性向け軽自動車の世代が古くなったことも開発のきっかけだったという。

注目すべきは、車体をバスのように長く見せるデザイン、キャンバスを買うならこれしかないでしょ!!と言いたいストライプカラー、後席下に備わる超便利な置きラクボックスだけではない。

そう、1655mmの全高である。これはタントの1750mm、ムーヴの1630mmの中間。というかムーヴに近い。それでいて後席の乗降、荷物の出し入れに圧倒的に便利な両側スライドドアを持つ軽自動車は今のところこのキャンバスだけ。当然、重心はタントより低く、より安定感ある走りになるというわけだ。

室内長はタントの2200mm、ムーヴの2080mmに対して2115mm。これもまた両車の中間だが、すでに触れたように、前席優先だから、後席のゆとりはあまり気にしなくていい……。と思っていたら大間違いだった。

前後席のヒップポイント、地上、フロアからの高さこそムーヴと変わらないが、後席ひざ回り空間は身長172cmのドライバー背後で約350mmと超広々。ちなみにタントは同365mm、ムーヴ290mm、ついでと言ってはなんだが『キャスト』は270mmである。もちろん頭上方向は比較的低全高だから130mmと、タントの250mmにはかなわないものの、ムーヴ、キャストとほぼ同じだから文句はない。

今回のキャンバスについてのメーカーのコメントには、いい意味で"控えめすぎる"表現がある。パッケージングで言えば「前席優先」。後席だってスライドドアからの乗降しかり、広さしかり。が、それだけではない。後席のかけ心地もすこぶるいいのだ。その理由は後席座面の長さ。大型車の前席でも500~520mmのところ、何と540mmもあるため着座時に太もも裏がしっかり密着。座面が短いと腰だけで体重を支える格好になり、長時間の着座で疲れやすくなるわけだ(もうひとつの”控えめすぎる表現”は「街乗ベストなパフォーマンス」だが、カーブなどでも想像以上にしっかり走る! 詳細は別稿で触れたい)。

ラゲッジの開口部地上高は、低めのタントの580mmより高い650mmだが、これはムーヴ、キャストといっしょ。注目すべきは後席240mmスライドをいかしたラゲッジ奥行きのフレキシビリティ。後席後端時で330mmはムーヴ、キャストと同じで、270mmのタントよりたっぷり。さらに後席を前端にスライドさせれば奥行きはクラス最大級の580mmに達する。天井高もムーヴ、キャストより高い875mmもあり(ムーヴ840mm、キャスト790mm)かなりの荷物を積載できる。

ここで、後席を前端までスライドさせると人が座れなくなるんじゃないか? という心配も無用。身長172cmのドライバーが座ってもひざ回りに90mmの余裕があるから問題ない。まさに秀逸なパッケージングである。

ちょっと気になったのは運転席(前席)からの前方視界。ドライビングポジションに対してインパネは低く直線的デザインだから、すっきり感はあるのだが、バスっぽく見せようとしたのか、フロントウインドーが立ち気味でなおかつ高さ方向が低いため、見上げ視界が制限され、信号直下に止まると信号が見にくかったりするのである。

ただし、前方視界は高さ方向に制限があるほど、クランク路などで運転がしやすいという某自動車メーカーの非公式テストデータもあるぐらいで、実際、空や信号の見え方はともかく、ステアリングを握った瞬間から運転のしやすさを実感できるのは確か。

というわけで、タントとムーヴの中間的パッケージをクラス初の両側スライドを備えて実現させたムーヴキャンバスは、なるほどCAN(できる)ミニバス的軽自動車。最後にこれだけは言わせてほしいのが、このクルマ、ルーフ、ボンネット&ショルダーライン、アンダーボディーを塗り分けた、凝ったストライプカラー前提にデザインされているらしく、1色のモノトーンカラーになるとボディーカラーを問わず一気に地味になる。というか、キャンバスらしくなくなるから要注意……。

《青山尚暉》

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