NEDO古川理事長、カーボンナノチューブ「18年間の技術開発で実用化が見えてきた」

自動車 ビジネス 企業動向
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長 全 2 枚 拡大写真

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の古川一夫理事長は11月7日、報道陣との懇談会を開き、次世代の素材として期待されているカーボンナノチューブ(CNT)についての説明を行った。

実はこの11月7日は炭素材料を開発する人にとっては記念すべき日だという。というのも、世界的に有名な科学雑誌『Nature』の1991年11月7日号に物理学者で化学者の飯島澄男博士がカーボンナノチューブの発見について論文を書き、世界の研究者を驚かせたからだ。

「NEDOでも1998年から18年間にわたりCNTの技術開発を推進してきた。ここへ来て実用化の道も見えてきた。昨年11月にはNEDOのプロジェクトにより、日本ゼオンが世界初となる量産工場を完成させた」と古川理事長は説明する。

CNTは炭素繊維の1つで、炭素繊維がミクロンサイズに対し、カーボンナノチューブはナノメートルサイズで、その応用範囲も広くさまざまな用途に期待されている。その特性はアルミニウムの半分の軽さで、強度は鋼の20倍。導電性も銅の1000倍と高く、熱伝導性も銅の10倍という。まさしく夢の材料と言っていい。

「今アプリケーションの開発を全方位で進めている。特に期待しているのはエレクトロニクス分野で、いろいろな可能性があると見ている。日本のエレクトロニクスは今弱っているので、このCNTを活用して飛躍してもらいたいと思う」と古川理事長は話す。

現在、民間企業などにサンプルを提供して、早い製品化を促している。すでに100件以上のサンプルを提供し、3件製品化に結びついたという。ただ、この分野の国際競争も今後ますます激化していくと見られ、NEDOでは日本の優位性を保つために、さらなる低コスト化などに向けた課題解決を進めていく方針だ。

《山田清志》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  3. 新型『ムーヴ』『ステラ』のコーナリング性能を向上、ブリッツの車高調「DAMPER ZZ-R」シリーズ
  4. 日本初のクルマ専用「除湿剤」が登場、最長180日間快適に
  5. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る