17年は各国が自動運転の確立に向けて、より大規模で高度な実証実験を行っていく年になりそうだ。
来日したオランダのインフラ環境大臣のエドウィン・ナス氏は14日、内閣府が主催する「SIP-adus Workshop 2016」(えすあいぴーえーだす)で基調講演。「自動運転はあったらいいなというものではなく必要なもの」と訴え、オランダを中心とするユニークな取り組みを紹介した。
オランダは来年初めにも、人が乗らない無人での自動運転を合法化するための法改正を行う予定だ。そこで行われるひとつに、障害者が施設に通うための移動手段とすること「ドライバーレス・シャトル」の運用がある。
自動運転は技術的に可能であるというだけでは実現しない。自動運転が安心して、社会に受け入れられることを証明することが必要だ。ネス氏は「障害者でテストを受けたいという希望者がたくさんいる」と話し、誰でもより簡単に移動できる自動運転の便利さを追求する意欲を強調した。
また、オランダは無人運転車両走行を国境をこえた実験として推進したい考えだ。
今年4月、オランダで開催されたEU(欧州連合)交通理事会には、加盟国の交通大臣がアムステルダムを目的地に自動運転車に試乗して集まることを企画した。そこで調印されたのが、自動走行の開発と実用化を支持する「アムステルダム宣言」だ。自動走行技術の開発と実用化を加盟国全体で支持に、はずみをつけた。
それでも「可能性を追求してテストを行い、実証するためには多くの課題がある」(ネス氏)と先を急ぐ。車両生産国ではないことの強みなのか。自動運転の技術では先駆けるものの、社会での受け入れに慎重な日本とは対極の対応だ。