【オートモーティブワールド2017】知られざる新型「インプレッサ」開発ストーリー…開発責任者インタビュー

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富士重工業 阿部一博プロジェクトゼネラルマネージャー
富士重工業 阿部一博プロジェクトゼネラルマネージャー 全 8 枚 拡大写真
富士重工業の阿部一博プロジェクトゼネラルマネージャー(PGM)は1月18日に開幕した「オートモーティブワールド2017」の自動車部品&加工フォーラムに登壇、自らが開発責任者を務めた新型『インプレッサ』の開発ストーリーを披露した。阿部PGMは会場内でレスポンスのインタビューに応じ、新型インプレッサに込めた思いを語った。


◆スバルのフルモデルチェンジをやります

----:新型インプレッサはスバルグローバルプラットフォームの第1弾ですが、開発当初から使うことが決まっていたのですか

阿部PGM(以下:敬称略):私がPGMの職に就いたのが2012年4月で、その当時はまだ新しいプラットフォームを次期型インプレッサに入れるかどうかは決まっていませんでした。ただ、私は新プラットフォームの内容がわかっていたし、自分がやりたいこともあったので、新プラットフォームを是非、インプレッサに使いたいと考えました。

当然、スバルの中で一番小さくて安いインプレッサに使ってどうするんだという意見も社内にはありました。もちろんフラッグシップの『レガシィ』に入れられれば良かったのですが、タイミング的な問題もあって、2014年の全面改良時には採用できなかったんです。

では次のレガシィまで待つかとなると、それはない。しかもインプレッサは『フォレスター』のベースになる部分もあるので、インプレッサに入れていくのが最適ではないか、と。そこで「私がインプレッサのフルモデルチェンジだけではなくて、スバルのフルモデルチェンジをやりますから」と大きなことを言って、採用することになったんです。

----:全く新しいプラットフォームの採用で開発現場の負荷も相当なものと思われますが、苦労した点は

阿部:今回のプロジェクトのメンバーは本当に若い技術者が多く、ひとりひとりが同じ方向を向くようになるまでが大変でした。というのも私はインプレッサの前はPGMを助ける立場でやっていたし、その前もプロジェクトをまとめる仕事をしてきたので、次の展開が見えるが、若い人たちにはそれがまだわからない。

ただ量産開発の経験はなくとも技術的な経験が非常に高い人たちだったので、プロジェクトの行くべき方向さえ示してやれば、どんどんついてきてくれた。1年半くらいはかかりましたが、みんな一人歩きできるようになりました。

実際、お客様が喜ぶ顔とプロジェクトメンバーの成長を目指そうということを最初に掲げて開発をスタートし、新プラットフォームの採用で目標設定が高くなった分、苦労もしましたが、プロジェクトを終えて本当にメンバーも成長してくれた。この人たちは、今回の経験を生かして、さらにいいクルマを絶対に造ってくれる、そう思っています。


◆新たなインプレッサらしさ

----:走りという点でフォルクスワーゲン『ゴルフ』をベンチマークにしているとお聞きしましたが

阿部:ゴルフというクルマ全体をベンチマークにしているつもりは一切なくて、ある技術的な部分なんです。そのひとつが「乗り心地」。ステアリングを切った時に思った通りにクルマが動く、違和感の無さは日本車が超え難い部分がある。実際に数値でとってみると、明らかに違う。

今回、9項目ほどで(ゴルフを)超えましたが、でもそれは単に我々が選んだ指標であって、お客様からの視点からいったら、まだまだそれだけじゃないというところも当然あります。

----:とはいえ、実際に試乗してみて質感は確実に上がったという印象を受けましたが

阿部:皆さんそう言って下さっています。ただその一方で、「もっと小気味良いのがインプレッサじゃないの」と仰る方も実際にはいます。ただ質感が上がって高級車になったことで、インプレッサらしさがなくなったわけではなくて、インプレッサらしさを一段と良くしつつ、高級感もあるという、新たなインプレッサらしさだと思って頂ければと考えています。

----:新型インプレッサの開発にあたっては走りに加えて安全も追求したということですが、安全面ではアイサイトだけではなく歩行者保護エアバッグも全車標準装備となっていますね

阿部:日本はどうしても歩行者の死亡事故が多く、その中でも小さいクルマにこそ歩行者保護が必要だということがわかっていました。

これはまさに偶然ですが、インプレッサというかスバルのクルマは、実はフロントガラスとエンジンフードの後端の隙間がすごく大きいんです。ゴルフと比べると一目瞭然で、私は前々から「格好悪い」と注文をつけていたんですが、その隙間をうまく使うことができたんです。

その隙間にエアバッグを納めてしまえば、わざわざフードの位置を高くしてエアバッグを納めるための空間を造る必要もなくなるので、原価が半分近くまで抑えられるようになった。であれば全車に付けられるということで、これは本当に運が良かったと思っています。


◆インプレッサの“次”は…

----:スバルグローバルプラットフォームの第2弾として『XV』が2017年春に日本で発売されますが

阿部:私はインプレッサとXVの両方の開発責任者をやっていて、これから導入するXVが成功しなかったら、このプロジェクトは失敗だと、そう思っています。というのも、インプレッサはアメリカが最大の市場ですが、XVはそれよりも台数が出ているので、どうしても事業的にはXV(が優先)となります。

XVとインプレッサ5ドアの開発は完全に同時進行でした。しかもXVは「こういうクルマにしなくてはいけない」というのが確実にあって、それを5ドアとどう両立させるかというスタンスでやってきました。どちらかといえばXVのために5ドアを(作った)というところがかなりある。ですから、次に出るXVにも自信がありますし、期待して頂きたいですね。

《小松哲也》

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