2月26日に埼玉県越谷市で行われた「U1000 in しらこばと公園」。ここでは1000cc以下の国産乗用車を取り上げてみよう。
2代目は各地の旧車イベントで見かけることがあるが「初代」ということで珍しかったのは、1964年式の日野『コンテッサ900』。日野自動車がルノー『4CV』のライセンス生産で得たノウハウをもとに独自設計したものだ。4CVと同じくモノコック構造の車体後部に搭載された直列4気筒水冷OHV893ccエンジンは35馬力を発生。リアエンジン車としては珍しいコラムシフトを採用した3速トランスミッションを介して後輪を駆動している。
この個体は、もとはグレーだったボディ色をマルーンに塗り替え。クラッチやウオーターポンプ、ダイナモなどを組み換え、ブレーキ周りもオーバーホールされている。RRだけに「ハンドル操作がパワステのように軽い」とオーナー。この排気量で今も高速道路では90km/hは出すことができるという。
戦前の製造ながら今も美しい姿を見せていたのはダットサン『16型クーペ』(1938年)。2+2クーペのデザインは日本のカーデザイナーの草分けである故・富谷龍一氏によるもので、サイドステップを省いたり埋め込み型ドアハンドルを採用したりするなど、当時としては最先端のフォルムだった。エンジンは直列4気筒サイドバルブ722cc・16馬力を搭載している。
この個体は運転姿勢を楽にするためにステアリングコラムを短くしたり、ヘッドライトをハロゲンにしたりと、実際に乗るための改良が施されていた。ただし足元のペダルレイアウトは右からブレーキ、アクセル、クラッチという配列で現代の車とは異なるなど、戦前車の造りの違いが見て取れた。
トヨタ『パブリカ800』(1968年)は、貴重な未再生原形車。走行500kmの新古車を購入以来、現在まで乗り続けているというもので、新車時の原塗装がそのまま残り、エンジンも1度もオーバーホールされていないという。トヨタとしては最初にして唯一の空冷・水平対向による2気筒エンジンだ。
このほか、ホンダ『S600』(1965年)や日産『サニー』クーペ(1969年)、スバル『1000』スポーツ (1969年)などといった個性的な小排気量スポーツ車があった。