【池原照雄の単眼複眼】何が飛び出すか、ホンダの新研究組織「X」

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ホンダ ASIMOとUNI-CUB β
ホンダ ASIMOとUNI-CUB β 全 5 枚 拡大写真

スピードを信条にプロジェクト方式で運営

ホンダが研究開発子会社である本田技術研究所(埼玉県和光市)に、4月1日付で新組織を立ち上げる。ロボット技術や新しいモビリティ、さらにAI(人工知能)など先進分野の研究開発を担当する「R&DセンターX」(以下=センターX)で、Xには「未知」のものへ挑戦する想いを込めたという。2017年度中には、最初の成果を世に送り出す計画だが、果たして何が飛び出すか---。

【画像全5枚】

本田技術研究所には約1万5000人が従事し、二輪車、四輪車、パワープロダクツ(汎用製品)、航空機エンジンの各R&Dセンターのほか、基礎技術研究およびレースを担当する計6つのセンターで構成されている。センターXは7番目の組織となるわけだが、新しい領域を担うため、二輪、四輪、汎用といったホンダの伝統的な製品群の開発センターとは切り離すこととした。

運営も既存センターとは一線を画す。本田技術研究所の松本宜之社長(ホンダ専務執行役員)は「商品や技術機能別のプロジェクト運営とし、極力フラットでスピードを信条とする小さな組織にする」と話す。人員計画は公表していないが、プロジェクトごとに数人から数十人でチームを編成するというイメージだ。また、外部の人材・組織との協力による「オープンイノベーション」での研究推進を重視しており、16年秋に東京都港区赤坂に開設した外部との連携拠点である「HondaイノベーションラボTokyo」を活用していく。

ロボットや自律型モボリティなど3つの分野を対象に

では、具体的にどのような製品や技術を対象とするのか。松本社長は「3つのドメインで進めていく」と指摘している。3つとは(1)ロボット技術、(2)モビリティシステム、(3)スタビリティアシスト―だ。これら3つを総称して「ロボティクス」とも呼ぶそうだ。これでもまだ、つまびらかではないが、それぞれ、すでに形になっているホンダの製品があるので、そこからイメージはできる。

ロボット技術は、言うまでもなくヒューマノイドロボットの『ASIMO』。2番目のモビリティシステムは、バイクやクルマといった既存製品ではなく自律的に動く機能をもったもので、着座式パーソナル移動機の『UNI-CUB β』が挙げられる。また、3番目のスタビリティアシストに該当するものは、15年秋から法人向けのリース販売を始めた歩行訓練機器の『歩行アシスト』がある。

生かされるASIMOの要素技術

センターXは、こうした基盤となる製品の機能を大幅に進化させたり、あるいは一部の要素技術を取り出して新しい製品を創り出すといった研究開発を進めていく。たとえばASIMOは、歩行・走行での高度な運動能力や視界に入るものへの高い識別能力、人間との対話能力などを備えているものの、現状では、イベントのプレゼンテーションなど、活動の場は限られている。

しかし、家事や介護、生産や建設現場といった使途に応じてカスタマイズすれば、一気に活躍の場が広がるだろう。また、ASIMOの開発で培った要素技術も、一段と活用が進む見込みだ。UNI-CUB βや1月に米国で開かれた「CES 2017」で初公開した自立するバイクの機能「Honda Riding Assist」は、ASIMOのバランス制御技術が肝となっている。一方で、こうした製品や技術の高度化にはAIの進化が不可欠であり、センターXではその研究にも重きを置いていく方針だ。

松本社長は、センターXによる最初の成果は「17年度中に出していきたい」と宣言している。できれば、ASIMOのファミリーとなるようなロボットを見てみたい。

《池原照雄》

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