3月11日は東日本大震災があった日ということでさまざまな防災イベントが全国で行われたが、東京都足立区の荒川河川敷でも実施された。国土交通省荒川下流河川事務所と足立区が音頭を取り、警視庁、東京消防庁、自衛隊などが協力、会場にはさまざまな車両が集結した。
国交省からは降雨体験車、自然災害体験車、排水ポンプ車、照明車、足立区からは地震体験車、自衛隊からは高機動車、軽装甲機動車、炊事車など、東京消防庁からは救助用と特別消火用の消防車など、そして警視庁からはパトカーという具合だ。
やはり来場者が興味を示したのは体験車で、その前には常に列ができていた。地震体験車は震度7まで再現できるそうで、普段は区役所の駐車場にあり、区内の小中学校などの防災訓練の時に出動しているとのこと。
一方、降雨体験車は1時間あたり最大300mmの豪雨を体験でき、希望者は用意されたビニールカッパを着て車両に乗り込んでいた。中には65インチの大型ディスプレイとサウンドシステムが備わっていて、激しい雨とともに臨場感のある体験ができるようになっている。
また、自然災害体験車は土石流や火砕流を100インチの大型画面から3D映像で体験できるもので、実際に起こった時の音や振動はもちろんのこと、においや熱風までも再現している。このことで発生するまでの予兆現象やその恐ろしさ、避難の大切さなどを理解してもらおうというわけだ。
「全国の防災イベントを回っていますが、この体験車は非常に人気があります。ただ、それぞれ1台ずつしかないので、取り合いになることもしばしばあります」と国交省の関係者は話す。
排水ポンプ車と照明車については、これまで災害現場で活躍したもので、排水ポンプ車は2015年の茨城県常総市大水害、照明車は2016年の熊本地震の時に現地まで行ったそうだ。特に熊本へはほぼ1日かけて到着したとのことだ。
そのほか、会場では自衛隊による炊き出しが行われ、豚汁が振る舞われた。また、別のテントではアルファ米(防災食)の試食も行われた。そして、多くの車両が撤退した夜、照明車だけが残り、暗い河川敷を照らしていた。なんでも50m先でも新聞が読める明るさを誇るそうで、実際にその場に立つと昼間のように明るかった。
今回のキャッチフレーズは「防災の第一歩は、水辺に集い親しむことから」で、参加者は今回のイベントを通して防災の重要性を改めて認識したに違いない。