改正道路交通法施行、認知機能を測る高齢者向けサービスも

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「道路交通法の一部を改正する法律」について
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高齢者の自動車事故は減らせるか。3月12日、改正道路交通法がスタートし、75歳以上の運転免許保持者が「認知機能が低下した場合に行われやすい一定の違反行為(18基準行為)」で、臨時の認知機能検査を受けることなどが義務づけられた。

これまで、75歳以上のドライバーは、3年に1回の免許証更新時に「30分で終わる簡易な」認知機能検査を受けていた。この検査結果で、「認知症のおそれあり(第1分類)」「認知機能低下のおそれあり(第2分類)」「認知機能低下のおそれなし(第3分類)」の3種に分類し、運転適性検査・講義・実車指導の合計2時間半の高齢者講習を受講することで更新できた。

この検査で、第1分類と判定されたドライバーが、一定期間内に18の違反行為(下記、18基準行為)をしたとき、都道府県の公安委員会が行う臨時適性検査を受けなければならない。また、そこで認知症と判断された場合は免許取り消しなどの対象になった。

今回の改正道路交通法では、第1分類に入るドライバーは、違反の有無にかかわらず全員、臨時適性検査(医師の診断)を受けるか、主治医などの診断を受け、その診断書の提出が義務づけられる。

さらに、第1分類・第2分類に入るドライバーは、運転適性検査・双方向型講義・実車指導・個別指導の合計3時間の高度化講習を経て更新することに。このときの実車指導では、運転の様子をドライブレコーダーで記録し、その映像にもとづいて個人指導を行うなどのプログラムが組まれる。

こうした改正の背景には、高齢者の自動車事故の増加がある。警察庁のデータ「75歳以上の高齢運転者による交通死亡事故件数・構成比」では、2004年が6.4%、年々その割合は増加し、2014年は12.9%と倍増。高齢による記憶力・判断力低下で、信号無視の可能性が2.3倍、一時不停止が1.8倍、運転操作不適が1.4倍、合図なし進路変更が1.5倍に拡大すると算出している。

また、警察庁のグラフ「年齢別の交通死亡事故件数の推移」では、16~24歳の層で見ると、2004年の1228件から年々減少し、2014年は443件と3分の1に。いっぽうの75歳以上は、2004年が406件、2014年は471件と増加し、昨年に初めて件数が逆転した。

民間でも、改正道路交通法施行にあわせたサービスを展開し始めた。3月13日、ベスプラは「自分の認知機能を測れる」という認知機能検査サイトを立ち上げ、「高齢運転者本人やその家族・友だちへの意識付け」などを狙う。

前出の「臨時認知機能検査の対象となる違反行為」の18基準行為は下記のとおり(道路交通法施行令第37条の7)。

01 信号無視(例:赤信号を無視した場合)
02 通行禁止違反(例:通行が禁止されている道路を通行した場合)
03 通行区分違反(例:歩道を通行した場合、逆走をした場合)
04 横断等禁止違反(例:転回が禁止されている道路で転回をした場合)
05 進路変更禁止違反(例:黄の線で区画されている車道において、黄の線を越えて進路を変更した場合)
06 しゃ断踏切立入り等(例:踏切の遮断機が閉じている間に踏切内に進入した場合)
07 交差点右左折方法違反(例:徐行せずに左折した場合)
08 指定通行区分違反(例:直進レーンを通行しているにもかかわらず、交差点で右折した場合)
09 環状交差点左折等方法違反(例:徐行をせずに環状交差点で左折した場合)
10 優先道路通行車妨害等(例:交差道路が優先道路であるのにもかかわらず、優先道路を通行中の車両の進行を妨害した場合)
11 交差点優先車妨害(例:対向して交差点を直進する車両があるのにもかかわらず、それを妨害して交差点を右折した場合)
12 環状交差点通行車妨害等(例:環状交差点内を通行する他の車両の進行を妨害した場合)
13 横断歩道等における横断歩行者等妨害等(例:歩行者が横断歩道を通行しているにもかかわらず、一時停止することなく横断歩道を通行した場合)
14 横断歩道のない交差点における横断歩行者等妨害等(例:横断歩道のない交差点を歩行者が通行しているにもかかわらず、交差点に進入して、歩行者を妨害した場合)
15 徐行場所違反 (例:徐行すべき場所で徐行しなかった場合)
16 指定場所一時不停止等 (例:一時停止をせずに交差点に進入した場合)
17 合図不履行 (例:右折をするときに合図を出さなかった場合)
18 安全運転義務違反 (例:ハンドル操作を誤った場合、必要な注意をすることなく漫然と運転した場合)

《レスポンス編集部》

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