日野自動車など、低温廃熱を工場間でオフライン輸送する実用化検証試験を開始

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トラック搭載時の蓄熱システム外観
トラック搭載時の蓄熱システム外観 全 4 枚 拡大写真

NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構 )と民間企業4社は、低温廃熱を利用できる「ハスクレイ」を高性能化した蓄熱材の量産製造技術を確立するとともに、日野自動車と同蓄熱材を組み込んだ可搬コンパクト型蓄熱システムを共同で開発した。

今回開発した蓄熱材は、NEDOと高砂熱学工業、石原産業、大塚セラミックス、森松工業の4社が、100度以下の低温廃熱を利用できる蓄熱材「ハスクレイ」をベースに、さらに高性能化したもの。同蓄熱材を組み込んだ、従来型より2倍以上の蓄熱を可能とする可搬コンパクト型蓄熱システムを日野自動車と共同開発し、3月13日から同社工場間におけるオフライン熱輸送の実用化検証試験を開始した。

省エネ・環境意識の高まりにより、各種工場では高温廃熱の発電・蒸気利用が推進されているが、100度程度の低温廃熱は用途が限定されることなどから大部分が捨てられている。近年、工場などで発生する廃熱を蓄熱材に貯蔵し、熱の利用先までトレーラーやトラックなどで運搬するオフライン熱輸送システムなどの開発が進められているが、蓄熱密度が低いため重量や容積が大きくなること、高価であること、PCM(蓄熱材)の固液相変化時の潜熱を利用するため蓄放熱温度がPCMの相変化温度(融点)に限定されること、輸送時には蓄熱槽からの放熱でPCMが一部相変化し潜熱ロスが発生することなどが課題となっていた。

新蓄熱システムは、ハスクレイへの水の吸着/脱着反応により放熱/蓄熱を行うため、蓄熱槽を乾燥状態で維持すれば潜熱ロスは発生しない。加えて、相変化で蓄熱・放熱を行う方式ではないため、PCMを用いた蓄熱システムと比較して、熱利用温度域が限定されないことなどが特長だ。今回、従来のハスクレイ以上の蓄熱性能を持ち、低コストで製造できる蓄熱材の量産製造技術を確立するとともに、従来型の熱輸送システムに対して2倍以上の蓄熱密度を実現する可搬コンパクト型蓄熱システムを開発。コンパクト化を実現したことで、中型トラックでの搬送が可能となった。

今回、3月13日から23日までの予定で、同蓄熱システムを用いて、日野自動車羽村工場(東京都羽村市)で発生する廃熱を、新田工場(群馬県太田市)の加温工程や乾燥工程で利用するためのオフライン熱輸送の実用化検証試験を開始。同試験を通じて、実運用時の蓄放熱性能や経済性評価、省エネルギー効果量等の評価を行い、低温廃熱に適応可能な蓄熱・熱利用技術を確立する。

今後は、検証試験の結果をもとにシステムシミュレーションモデルを開発し、設計・提案ツールとして活用するとともに冷房・除湿・暖房、給湯、乾燥工程等へ適用する熱利用システムとして市場展開を目指す。

《纐纈敏也@DAYS》

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