【BMW 318iツーリング 試乗】3気筒で1.5リットル。これでもきちんと走るんだ…中村孝仁

試乗記 輸入車
BMW 318iツーリング ラグジュアリー
BMW 318iツーリング ラグジュアリー 全 15 枚 拡大写真

かつてVWは『パサート』のTVCMで、同社の1.4リットルダウインサイズターボエンジンを遡及するため、「この大きさで1.4リットルですよ」的なものをやっていた。

【画像全15枚】

エンジンのダウンサイジングは、自動車業界では世界的潮流であり、ヨーロッパに始まって日本、そしてアメリカも今やその例外ではない。かつては大排気量のV8エンジンを搭載していたようなモデルすら、今や当たり前のように直列4気筒を搭載する。勿論それによって省燃費もさることながら、環境負荷の低減という要素も大きい。

BMWの場合、フラッグシップモデルの『7シリーズ』にもハイブリッド化して4気筒2リットルエンジンを組み合わせている。だから『3シリーズ』がダウンサイジングするとなると、さらにそれより小さなエンジンを搭載するのは自明なのだが、搭載されたエンジンが3気筒1.5リットルと聞くと、少し心配になるのは僕だけではないと思う。

ターボチャージャーと高精度な制御システムのおかげで、今や小排気量ターボの性能は侮りがたい。「318」に搭載されたB38というコードネームを持ったエンジンは、最初に『i8』に使われ、横置きにして『ミニ』へ、そして縦置きで3シリーズとその使用を順次拡大している。ターボチャージャーはシングルスクロールタイプだが、世界初のアルミターボハウジングを備えるものだ。

最高出力及び最大トルクは136ps、220Nmで、最大トルクは何と僅か1250rpmから4300rpmまで発生され、日常的な常用域のほぼすべてを最大トルクを発しながら走れるという寸法だから、効率的にもすこぶる良い。燃費はJC08モードで17.0km/リットル(ツーリングの場合)。モード燃費のために特別な策を施している国産のモード燃費と異なり、こいつはリアルにこれを達成できる。勿論エアコンを使わなければ、という条件が付くが。

お値段はエントリーレベルと言っても決してお安くはない。「ラグジュアリー」というグレードの高い試乗車の場合、素の価格で511万円。オプションが装備された結果、その価格は580万円を超えている。まあ、今時のDセグ、ハイエンドカーはこんな値段だということであろう。

一番気になる走りである。8速ATとの組み合わせは4気筒と同じ。まずはその3気筒独特のサウンドが気になるところであったが、例によってサウンドチューンしているというBMWの3気筒エンジンは、およそ3気筒らしからぬ音で、少なくとも安っぽさは皆無。通常乗っている限り、同乗者がそれを3気筒と気付くケースはまずないと思う。

パワーはそれほどでもないが、最大トルクが1250rpmから発生していることが、このクルマのひ弱さを全く感じさせない理由だと思うが、日常的に市街地を走った場合、ずいぶんと力強く感じる。かつての3シリーズにだって同じようなサイズのエンジンは存在したが、昔はNAだったし、制御技術にも長けていなかったから、エントリーグレードというと、性能的には我慢のクルマ的印象が強かったのだが、今はそんなことは全くない。

一方で、3気筒になってノーズが軽くなったから、その運動性能もひらひら感が増したかと思いきや、それはさほど感じられなかった。ターボだってアルミハウジングだから、本来ならフロントのアクスル荷重は軽くなっているはずだ。

ATのスムーズさは今に始まったことではないが、とにかく実にスムーズに走ってくれる。ディーゼルがデビューしてその燃費の良さには呆れかえるばかりだし、力強さという点でも、同じような排気量ならガソリンエンジンがディーゼルに敵うはずもない。ただ、エンジンの静粛性、スムーズさ、滑らかさ(同じような意味だがちょっとニュアンスが違う)に関しては、やはり圧倒的と言ってよいほどガソリンが上。多少の性能差に目をつぶって、エントリーレベルのガソリンを選ぶというのも懸命なチョイスだと思う。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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