【ボルボ V90クロスカントリー 試乗】ボルボらしさにあふれている…諸星陽一

試乗記 輸入車
ボルボ V90クロスカントリー
ボルボ V90クロスカントリー 全 12 枚 拡大写真

ボルボ「90シリーズ」のハイトエステートモデルである『V90クロスカントリー』は、『S90』や『V90』よりも上質な雰囲気を持つモデルに仕上げられていた。

『XC90』の導入から始まった新生90シリーズは、つねにスーパーチャージド2リットルターボエンジンを搭載する「T6」モデルを試乗してきたが、今回試乗したクロスカントリーは254馬力/350Nmのスペックを持つ2リットルターボエンジン「T5」での試乗となった。

T6エンジンのパワフルさに慣れ親しんできただけに66馬力出力ダウンのT5のエンジンに不安を感じての試乗となったが、それはまったく気にならなかった。もちろんパワー&トルクは減っているが、それが不満の原因にはならないのだ。これがサーキットでのスポーツ走行を楽しむようなクルマなら話はまた別だが、一般道で走らせる限りV90クロスカントリーのT5エンジンは車格とのマッチングもいい。

エンジンの特性としては従来のボルボ車同様に低回転からググッとトルクが盛り上がる設定。なおかつそのトルクを維持し続けるので、乗りやすさもまたいい。今、ディーゼルエンジンが高く評価されているのも低回転で高トルクを発生することに由来するが、V90クロスカントリーの乗り味はまさにそうしたディーゼルの特性に近いようなフィールだ。

V90に比べて55mmの車高アップを施した足まわりは、素直で落ち着いた乗り味を実現している。V90はピレリPゼロが装着されていたが、このV90クロスカントリーはミシュランのラティチュードスポーツ3を履く。タイヤサイズは235/50R19で、V90の255/35R20よりも2サイズ細いが、トレッドはフロントで35mm、リヤで25mm広げられている。トレッドは左右タイヤ中心間の距離なのでタイヤサイズが細くなると広がることもある(左右タイヤ外側間の寸法が同一の場合など)が、V90クロスカントリーは車幅も広げてあるので、全体として広がっていると理解できる。

標準タイプのV90クロスカントリーは、リヤサスペンションのスプリングがリーフとなるが、試乗車はオプションのエアサスが装着されていた。以前、V90に試乗した際がエアサス車だったのであえてこの仕様としたが、このマッチングがじつにいい。リーフスプリング車も好感が持てるフィーリングだが、エアサスだと走行モードの切り替え時にサスペンションの設定も変化するので、よりはっきりしとした乗り味の変化を味わえる。

モードはエコ、コンフォート、ダイナミックの3つだが、エコでも十分にきびきびとした走りが可能。試乗時はタイトなことで知られる碓氷峠旧道も走ったが、クルマの大きさをさほど感じることなく走ることができた。90シリーズのなかではもっとも乗りやすい印象で、ボルボらしさにもあふれているという感じを受けた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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