スバル 吉永社長「ブランドの力で安定して2ケタの利益率を出せるように魅力を高める」

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スバルの吉永泰之社長
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SUBARU(スバル)は5月9日、2017年3月期決算の会見を行った。その席上、吉永泰之社長は何度も「スバルブランドをさらに磨いていく」と話し、「選択と集中、差別化・付加価値戦略の基本方針を今後も貫いていく」と強調した。

同社の2017年3月期の業績は売上高が3兆3259億円(前期比2.9%増)、営業利益が4108億円(同27.4%減)、当期純利益が2823億円(同35.3%減)と増収だったものの、大幅な減益となった。減益決算は5期ぶりのことだ。

グローバル販売台数は106万4500台と前期に比べて11.1%増えて過去最高を記録したものの、その約63%を北米で販売しているために円高の影響をもろにかぶり、為替による減益要因が1438億円(うち米ドルが1414億円)となったことが大きかった。そのほか、タカタ製エアバッグによる一連の品質関連費用や米国の金利上昇に伴う販売費の増加などが減益要因で、販売に陰りが出始めたというわけではない。スバル車の人気は相変わらず高いという。

2018年3月期についても、販売台数はさらに増えて110万6000台と3.8%増を計画。その結果、売上高は3兆4200億円(前期比2.8%増)と6期連続して過去最高を見込む。ただ営業利益については、同0.2%減の4100億円と横ばいの見通しだ。

「利幅の小さい小型車『インプレッサ』が増えて、利幅のあるSUV『アウトバック』が減るので、台数成長と同じように利益は伸びない。また、米国市場では販売奨励金が増える。原材料価格の上昇も損益にはマイナス影響になる」と吉永社長は説明し、こう付け加える。

「市場予想を下回るのは事実だが、単年度だけで決算の形を整えるのではなく、今やるべきことをやっておく。将来に必要な費用については減らすことはしない。これまではすべてが業績にプラスに働いていた。足元ではこれまでできていなかった設備投資を増やし、意識的に研究開発費も増やす。スバルブランドをさらに磨いて、スバルブランドをさらに磨いて、本当の意味での利益率の高い会社につくり上げていく。ブランドの力で安定して2ケタの利益率を出せるように魅力を高めたい」

ただ、体力に劣り、人的資源が乏しいスバルとしては、なんでもかんでも力を入れていくということはできない。吉永社長はスバル車の人気がなくなることが一番怖いと考えており、まずは品質への徹底的なこだわりを持ち、安心と愉しさを目指したクルマづくりに専念する方針だ。

ほんの10年ほど前まで、スバルは青息吐息の会社だったが、短期間で大きく様変わりした。スバル車のユーザーも幅広くなった。その中でいかにスバルらしさを維持していくかがこれからさらに重要になってきそうだ。

《山田清志》

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