日本自動車工業会は5月22日、定時総会を開き、2017年度の事業計画などを承認した。西川廣人会長(日産自動車社長)ら正副会長は来年が改選期であり、揃って留任した。ただ、燃費不正で昨年度に副会長ポストを辞退した三菱自動車は引き続き空席としている。
総会後に記者会見した西川会長は、17年度の会員各社の業績動向について「世界の全体需要が伸びるなか、為替変動の影響や原材料費の高騰、さらに米国市場がピークアウトして昨年より増加しないことなどにより、収益については各社慎重な見方をしている」と指摘した。
一方で技術革新に備え「各社とも研究開発費を増やし、将来への投資を拡充している。将来への布石は順調に打たれている」と評価した。17年度の乗用車7社の連結営業利益予想は、マツダと三菱自動車工業を除く5社が減益予想としているものの、研究開発費については軒並み増額計画を打ち出している。
一方、海外の新車市場については「米国、中国、欧州等々で経済指標は悪くない」とし、堅調な推移への期待を表明した。米国については「ピークアウトしたとの見方があるが、年間換算では1680万台から1700万台弱と想定されており、高い水準にあるのは変わりない」との見方を示した。日本市場については「16年度は2.8%増加して508万台となったが、4月も6か月連続のプラスと好調を続けている」と評価した。
17年度の事業計画では引き続き「国内市場の活性化」を柱に据えて取り組む。今年は東京モーターショーの開催年でもあり、ショーのポイントとして「技術の先進性をお見せして世界での存在感を高めるとともに、若い方に(クルマとバイクへの)関心をもっていただくようにしたい」と指摘した。さらに、国内市場の活性化を足掛かりに、自動車メーカーとして「(関連産業など)サプライチェーン全体への景気の好循環波及に貢献していきたい」と強調した。